ニュースイッチ

電子部品各社、成長へお金惜しみません!

FDK、3カ年で過去最高の設備投資150億円。TDKは約260億円でスイス社買収
 FDKは2016年4月から始まる3カ年新中期経営計画の設備投資総額を、過去最高となる約150億円に設定する。産業機器や自動車用の電池、スマートフォン向け部品といった製品の設備更新や増産対応などに充てる。これまで減価償却費の範囲内に投資を抑えていたが今期で構造改革にめどがつき、業績が成長軌道に入ったことから再び投資を積極化する。安定した供給体制を整え、計画達成を確実にする。

 車載向けリチウム電池をはじめとする電池の需要増、スマホ向けに開発した小型・薄型パワーインダクターの新規採用などに対応する。これまでに光部品事業の譲渡や旭化成とのリチウムイオンキャパシター合弁事業の解消といった選択と集中を進めて、収益の黒字が定着したこともあり「減価償却費に加え、営業利益見通し額の半分程度まで年間の設備投資計画を引き上げる」(望月道正社長)ことにした。

 中期経営計画では19年3月期に売上高1000億円(16年3月期見通しは810億円)、営業利益率7%以上(同2・8%)を掲げる。既存製品はもちろん、磁性材料や圧電材料など材料開発を強化することで新商材開発を加速させるとともに、電池と電子部品事業の技術を活用した有力製品を投入する。

 また今回から新たに数値目標に投下資本利益率(ROIC)を加え、同15%以上と設定した。業容拡大に加え、財務構造の一段の健全化を目指す。

車向けセンサーの強化を狙うTDK


 TDKは17日、スイスのセンサーメーカー、ミクロナスセミコンダクタホールディングを、2016年3月をめどに子会社化すると発表した。公開買い付け(TOB)で株式を取得し、取得額は最大で約2億1400万スイスフラン(約263億円)になる見通し。ミクロナスのセンサー技術を取り込み、特に自動車向けのセンサー事業拡大につなげる。

 TOBで株式の67%以上の取得を決めており、上限は設けない。特定目的会社を通じて、1株当たり7・5スイスフラン(約923円)で買い付ける。買い付け期間は16年1月12日―2月10日。同3月上旬に決済予定。ミクロナスの取締役会はTOBに賛同しているという。

 ミクロナスはホール素子と呼ぶ磁気センサーとICシステムを手がけており、自動車向けで世界シェア上位。センサーの回路設計技術やパッケージ技術に強みがある。14年12月期の売上高は1億5845万スイスフラン(約195億円)、営業利益は639万スイスフラン(約7億9000万円)。

 TDKはハードディスク用磁気ヘッドの材料開発、生産技術を生かした磁気センサーを開発し、自動車向けを中心に受注を伸ばしている。ミクロナスの子会社化により、センサー開発を加速するとともに生産や販路面でもシナジーを創出する。
 
日刊工業新聞2015年12月18日 電機・電子部品/3面
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
特にTDKは王者・村田を意識するでしょう。なかなか融合できなかったドイツ・エプコスの教訓をいかさないと。来年は電子部品業界で中堅メーカーが再編の台風の目になりそう。食うか食われれるか。

編集部のおすすめ