GE×ソフトバンク、日本でインダストリアル・インターネット事業いよいよ始動
LIXILグループへプラットフォーム提供。新築やリフォームの施工で顧客満足度高める
米ゼネラル・エレクトリック(GE)が開発した「Predix」は、インダストリアル・インターネットの時代におけるクラウドベースの産業用ソフトウェア・プラットフォーム。GEも自らが手掛ける発電所などでPredixを活用し、すでに故障予知やオペレーション効率向上に確実な成果をあげている。
しかしPredixは、GEのような重工業分野の企業のためだけに開発したものではない。これから『データ・アナリティクス』の価値を社会全体で活用できるようにするためには、オープンで水平展開が可能なシステムが不可欠。Predixは、そんな発想に基づいて開発されている。
2014年にGEは戦略的パートナーとしてソフトバンクとのアライアンスを締結、同社はあらゆる業種の企業を対象にしたPredixの外販を担っている。GEがPredixの普及を目指す最初の4か国のひとつに日本を選んだのは、高品質なネットワークがあり、成熟した産業と革新的な技術が揃っているから。インダストリアル・インターネット時代を拓くリーダーとなる国だと考えているためだ。
実際、日本でも戦略的なIoT活用で経営強化を目指す企業が増え始めている。LIXILグループもその一つ。LIXILトータルサービスはバスルームやキッチン、サッシなど住宅設備・建材などLIXILの製品設置工事や修理全般を手掛けており、最近、ソフトバンクを通じてPredixの導入を決定。業務効率と生産性のさらなる改善に乗り出した。
日本では新築需要が一定の落ち着きを見せているなか、いま熱いのはリフォーム市場。政府も新成長戦略のなかでストック重視を明言し「2020年までにリフォーム市場を倍増」する計画を発表した。まだまだ続くリフォーム熱が、LIXILのような住宅用耐久消費財メーカーや施工業者をいっそう忙しくさせる。
新築やリフォームの経験がある人は、工事のプロセスは実に煩雑だと分かるはず。住宅業界では、この「ジョブ・スケジューリング=施工のスケジューリングと適切な施工チームの割り当て」そのものが、顧客満足を大きく左右する。
新築なら工期が1日延びるごとに費用が嵩み、暮らしながらのリフォーム工事なら計画通りに進まなければ施主の日常生活に大きな支障をきたす。
LIXILトータルサービスでPredix導入のプロジェクト・リーダーを務めた日原勲氏によると、「例えばリフォーム工事では、他の居室に影響を与えない技術、工事音や振動を制御する能力は難度が高く、どんな施工チームでもできるというわけではない。新築工事でも“この物件は 細い路地から2階にバスタブを入れられるチームで”といった具合に、案件ごとに必要とされる能力が異なる」という。ひとつの浴室工事にも、複数の業者が関わるために、その施工計画は複雑さを極める。
首都圏エリアをカバーする東京支店では、浴室だけでも毎月1,000件規模の施工を受注。これをこなすのは50以上におよぶ施工チームだ。得意分野はそれぞれ異なる。案件ごとに異なる特性に応じて、現場住所、日程、商品(ユニットバスルーム)の工事経験の有無、クレーンを扱えるかどうか、施工難度をクリアするスキルを有するかどうか、を判断しないといけない。最適な施工チームをアサインする「ジョブ・スケジューリング」は、高いノウハウが求められるものでもあり、これまで“コントローラー“と呼ぶ専門スタッフ達の仕事だった。
しかし、これからこの仕事を担うのは、高い分析力をもちLIXILのためにカスタマイズして開発された『Predix Job Scheduler(プレディクス・ジョブ・スケジューラ)』。各スタッフたちが熟知し蓄積していた、知見やノウハウをータベース化し、Predixに紐付ける。Predix導入準備にあたって、LIXILはソフトバンク、GEと3社共同のプロジェクト・チームを組んだ。
このワン・チームの取りまとめ役を務めたGE Digitalの戸田圭輔氏が語る。「ポイントは、あるべきプロセスの定義にせよ、UI(ユーザー・インターフェース)の開発にせよ、すべてお客様やユーザーの視点から考えたこと。このシステムは、一連のプロセスに関わる“人”の立場や感情を考えながら、作り上げたものだから、きっと良い結果をもたらせるはず」という。
Predixは施工実績や施工チームの熟練度をデータとして蓄積し続けるほど、各案件の要求特性に応じて最適な施工チームを、より高い精度で割り当てることができるようになる。
“脱・属人化”によって施工スケジュールの遅延防止やコスト削減を図ることができるだけでなく、専門スタッフ達はより大きな付加価値を届ける業務に時間を充てることが可能になる。LIXILグループは将来、バスルームだけでなく、トイレ、キッチン、サッシ、エクステリアなど様々な製品群のジョブ・スケジューリングにもPredixの活用を拡げていく考え。
ソフトバンクとGEとの協業推進を担当する日本GEの中村哲也氏は、「コンシューマー・インターネットは、当初想像もできなかったほどの大きな変化を起こした。ソフトバンクは先陣をきって日本のインターネット普及を切り拓いてきた企業。次はインダストリアル・インターネットとデータ・アナリティクス技術が、想像を超えるほどに社会や経済のあり方を変える」という。
しかしPredixは、GEのような重工業分野の企業のためだけに開発したものではない。これから『データ・アナリティクス』の価値を社会全体で活用できるようにするためには、オープンで水平展開が可能なシステムが不可欠。Predixは、そんな発想に基づいて開発されている。
2014年にGEは戦略的パートナーとしてソフトバンクとのアライアンスを締結、同社はあらゆる業種の企業を対象にしたPredixの外販を担っている。GEがPredixの普及を目指す最初の4か国のひとつに日本を選んだのは、高品質なネットワークがあり、成熟した産業と革新的な技術が揃っているから。インダストリアル・インターネット時代を拓くリーダーとなる国だと考えているためだ。
実際、日本でも戦略的なIoT活用で経営強化を目指す企業が増え始めている。LIXILグループもその一つ。LIXILトータルサービスはバスルームやキッチン、サッシなど住宅設備・建材などLIXILの製品設置工事や修理全般を手掛けており、最近、ソフトバンクを通じてPredixの導入を決定。業務効率と生産性のさらなる改善に乗り出した。
住設・建材の施工工事 × GE Predix
日本では新築需要が一定の落ち着きを見せているなか、いま熱いのはリフォーム市場。政府も新成長戦略のなかでストック重視を明言し「2020年までにリフォーム市場を倍増」する計画を発表した。まだまだ続くリフォーム熱が、LIXILのような住宅用耐久消費財メーカーや施工業者をいっそう忙しくさせる。
新築やリフォームの経験がある人は、工事のプロセスは実に煩雑だと分かるはず。住宅業界では、この「ジョブ・スケジューリング=施工のスケジューリングと適切な施工チームの割り当て」そのものが、顧客満足を大きく左右する。
新築なら工期が1日延びるごとに費用が嵩み、暮らしながらのリフォーム工事なら計画通りに進まなければ施主の日常生活に大きな支障をきたす。
LIXILトータルサービスでPredix導入のプロジェクト・リーダーを務めた日原勲氏によると、「例えばリフォーム工事では、他の居室に影響を与えない技術、工事音や振動を制御する能力は難度が高く、どんな施工チームでもできるというわけではない。新築工事でも“この物件は 細い路地から2階にバスタブを入れられるチームで”といった具合に、案件ごとに必要とされる能力が異なる」という。ひとつの浴室工事にも、複数の業者が関わるために、その施工計画は複雑さを極める。
ジョブ・スケジューリングは、高いアナリティクス機能が欠かせない
首都圏エリアをカバーする東京支店では、浴室だけでも毎月1,000件規模の施工を受注。これをこなすのは50以上におよぶ施工チームだ。得意分野はそれぞれ異なる。案件ごとに異なる特性に応じて、現場住所、日程、商品(ユニットバスルーム)の工事経験の有無、クレーンを扱えるかどうか、施工難度をクリアするスキルを有するかどうか、を判断しないといけない。最適な施工チームをアサインする「ジョブ・スケジューリング」は、高いノウハウが求められるものでもあり、これまで“コントローラー“と呼ぶ専門スタッフ達の仕事だった。
しかし、これからこの仕事を担うのは、高い分析力をもちLIXILのためにカスタマイズして開発された『Predix Job Scheduler(プレディクス・ジョブ・スケジューラ)』。各スタッフたちが熟知し蓄積していた、知見やノウハウをータベース化し、Predixに紐付ける。Predix導入準備にあたって、LIXILはソフトバンク、GEと3社共同のプロジェクト・チームを組んだ。
このワン・チームの取りまとめ役を務めたGE Digitalの戸田圭輔氏が語る。「ポイントは、あるべきプロセスの定義にせよ、UI(ユーザー・インターフェース)の開発にせよ、すべてお客様やユーザーの視点から考えたこと。このシステムは、一連のプロセスに関わる“人”の立場や感情を考えながら、作り上げたものだから、きっと良い結果をもたらせるはず」という。
Predixは施工実績や施工チームの熟練度をデータとして蓄積し続けるほど、各案件の要求特性に応じて最適な施工チームを、より高い精度で割り当てることができるようになる。
“脱・属人化”によって施工スケジュールの遅延防止やコスト削減を図ることができるだけでなく、専門スタッフ達はより大きな付加価値を届ける業務に時間を充てることが可能になる。LIXILグループは将来、バスルームだけでなく、トイレ、キッチン、サッシ、エクステリアなど様々な製品群のジョブ・スケジューリングにもPredixの活用を拡げていく考え。
ソフトバンクとGEとの協業推進を担当する日本GEの中村哲也氏は、「コンシューマー・インターネットは、当初想像もできなかったほどの大きな変化を起こした。ソフトバンクは先陣をきって日本のインターネット普及を切り拓いてきた企業。次はインダストリアル・インターネットとデータ・アナリティクス技術が、想像を超えるほどに社会や経済のあり方を変える」という。