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変異株がたちまち現れる、サイバー空間もウイルス感染には要注意

「ウイルスを イガで防いで 実(身)を守る」とは、クリをお題にした晩秋の一句。コロナ禍を詠んだものではない。日本ネットワークセキュリティ協会に投稿された過去の川柳である。

サイバー空間のウイルスも日々刻々と変化し、変異株がたちまち現れる。近年、特に深刻さを増しているのが、工場などの大規模な制御システムを狙った攻撃だ。5月に米国最大の石油パイプラインが操業停止に追い込まれたのは記憶に新しい。

それまで産業用ロボットなどの制御装置はすべて個々に動かしていたが、今は多くがネットワークにつながり大型化している。通信網の安全性はある程度保証されているものの、旧来型の装置は内部が極めて脆弱(ぜいじゃく)だ。

研究者も制御工学と暗号ではかなり分野が異なるが、その融合に挑んだのが電気通信大学准教授の小木曽公尚さん。暗号化したまま制御装置を動かせる「暗号化制御」を提唱し、世界が後追いする。

一方で、日本のモノづくり現場に情報科学の専門家はいまだに少ない。クリのイガは「虫の攻撃から守るため」というのが有力な説だが、企業が身を守るにはどうすべきか。無症状だからといって感染していないとは限らない。

日刊工業新聞2021年11月18日

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