台湾の鴻海精密工業がシャープ本体の買収を含む複数の救済案を正式提案したことが明らかになった。シャープの経営再建を巡っては、官民ファンドの産業革新機構が支援する案を軸に検討が進んでいるが、なかなか決着しない。その背景の一つに革新機構が、シャープへの支援と引き換えに、みずほ銀行と三菱東京UFJ銀行の主力2行による債権放棄を求め、銀行側が難色を示していることがある。

　しかし革新機構が関与する企業再生では、今年、フォークリフト中堅メーカー、ユニキャリアホールディングスの出口戦略（三菱重工業が買収）や、2012年の半導体大手、ルネサスエレクトロニクスの支援の時もそうだったが、当初は外資系企業やファンドが買収に名乗りを上げ、最終的に「海外への技術流出を避ける」という大義のもと、外資への売却は排除された。

　今回も鴻海は、官邸、経産省、革新機構、主力行が妥協点を探るためのダシに利用されるだろう。シャープには実質的な当事者能力はなく、最後は官邸の「大岡裁き」となるはずだ。

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