重なる「誤算」で正念場の自動車部品メーカー、一段と問われる攻守のバランス

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自動車部品メーカーが正念場を迎えている。半導体不足や新型コロナウイルス感染拡大による完成車メーカーの減産長期化、想定を超える資材価格高騰という「誤算」が重なり、2022年3月期連結業績予想の下方修正が相次いだ。完成車メーカーは挽回生産の準備を着々と進めており、部品各社は再度の減産リスクを注視しながら、増産対応に目配りする難しいかじ取りを迫られる。(名古屋・山岸渉、西沢亮、江上佑美子)

「車メーカーの急激な減産と原材料市況の悪化が大きい」。22年3月期の営業利益見通しを期初公表比100億円減の430億円に下方修正した豊田合成の小山享社長はこう残念がった。トヨタ自動車系中堅部品メーカーでは東海理化や中央発條など4社、ホンダ系部品ではテイ・エステック、エフテックなど6社が通期見通しを引き下げた。

日系完成車メーカー8社の世界生産台数はコロナ禍の20年春を底に、旺盛な自動車需要を背景として20年度後半以降はコロナ前の19年水準に届くほどに回復した。東海理化が21年4―6月期に当期利益56億円で過去最高を更新するなど、部品各社の業績回復への期待は大きかった。

潮目が変わったのは今夏。「自動車生産に急ブレーキがかかった。想定外だった」(中央発條の高江暁社長)。8月以降、トヨタが東南アジアでの新型コロナ感染再拡大と半導体不足で大幅減産に見舞われるといった「誤算」が生じた。

加えて想定を超える資材価格の上昇。例えば鉄スクラップは「高騰がこれだけ長くが続くのは初めて」(愛知製鋼の藤岡高広社長)。21年4―9月期の中部地区H2(鉄スクラップ指標品種)は1トン当たり4万4000円と前年同期の2倍以上を記録。大同特殊鋼はその影響で通期見通しを下方修正した。梶田聡仁取締役常務執行役員は「(鉄スクラップ価格は)今の水準が続くのが業績予想の前提」と肩を落とす。今後も「アルミニウムや鉄鋼の価格上昇を予想する」(ホンダの竹内弘平専務)。

一方、完成車の生産は改善傾向だ。トヨタは世界生産の通期見通しを5月公表比30万台減の900万台としたが、11月の世界生産は計画には届かないものの85万―90万台と単月として過去最高水準を見込む。「トヨタはあらゆる手を尽くし半導体の確保にめどをつけたようだ」(トヨタと取引の多い部品メーカー幹部)。トヨタは挽回生産に向け「仕入れ先の改善を進める活動にも取り組む」(トヨタの近健太取締役)と寄り添う構えだ。

ただ新型コロナ感染再拡大や半導体不足の懸念は22年も払拭(ふっしょく)できず「生産量の予想は非常に難しい」(フタバ産業の吉貴寛良社長)、「毎日、毎週(供給網が)つながるかを確認しなくてはいけない」(東海理化の二之夕裕美社長)のが実情。

また増産に当たり「北米では慢性的な労働力不足だが、臨時採用などに積極的に取り組む」(エフテックの福田祐一社長)など人手不足への対応を迫られるほか「21年度から半導体の在庫を3カ月分から5カ月分に積み増すよう通達があった。自主的に半年以上持つ企業もあるようだ」(トヨタ系サプライヤー幹部)など、在庫積み増しも必要だ。各社とも今後、攻守のバランスが一段と問われる。

日刊工業新聞2021年11月12日

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