求む!佐賀のモノづくり人材育成リーダー
県立産業技術学院で学院長を公募中
佐賀県は県立産業技術学院(佐賀県多久市)の学院長を公募する。学院の活性化や在職者訓練の充実強化が目的。任期は2016年4月から18年3月まで。資格は51年4月2日から81年4月1日までの生まれで、人事部門や管理職の経験があることなど。募集期間は16年1月8日まで。
県立産業技術学院は、職業能力開発促進法に基づく職業能力開発校。建築技術・設計、機械技術、電気システム、木工芸デザイン、自動車工学の5科がある。問い合わせは佐賀県農林水産商工本部(0952・25・7310)へ。
日刊工業新聞2014年9月2日 ひと&会社面「人材育成/キーパーソンに聞く」
―県の職業訓練校として2012年4月に学科を再編。同時に、全国で珍しい公募学院長として就任し、改革に取り組んでいます。
「施設内訓練のカリキュラムを2年課程に統一し、新規学卒者や若年離職者に対する技術・技能の育成に特化した。私は県立工業高校の校長を定年退職後に一般公募を経て就いた。教育界から飛び込んだ者として技術・技能の育成だけでなく、人づくりが産業界に応えられる部分だ」
―3月に再編後の1期生が修了しました。
「修了生31人の就職率は100%で、うち県内就職率は90%と地元へ貢献できた。インターンシップ(就業体験)の効果が特に大きく、体験先に就職するなど“お見合い”がうまくいった。納得した職を得られた点も大きい。学科再編を通して学院のイメージが『進学できない人の受け皿』というものから向上、新規就職先も開拓できた」
―企業ニーズをどう捉えていますか。
「中小企業では社内教育の時間がなく、あいさつやコミュニケーションが重要と言われる。当学院は社会人基礎力の養成を掲げており、それがマッチした。就職先からは社会人として即戦力になると褒めていただいた」
―具体的な養成法は。
「どの場面で、どのような力をつけるか意識して場面づくりを行う。例えば、授業中に発言を促すことや班長制、チーム制でコミュニケーション力を養う。毎朝のモーニングアップ(実習朝礼)でのラジオ体操も以前と変わった点だ。学院生のうち新規学卒者は半数以下で過半数が転職者。家庭を持つ人もいれば主婦もいた。同期の中に年齢差があることも社会性の養成に貢献した。また、個別指導の充実も効果が大きかった。工業高校でもここまではやらない」
―技術面も重要です。
「2年間で技術や技能を身につけるが、工業高校と違って実習は毎日行う。社会人基礎力もそうだが、短期間では養成が難しい。設備面では工作機械や自動車工学科向けのハイブリッド車など、各学科で最新設備をできるだけ導入している。前回の技能五輪全国大会や若年者ものづくり競技大会などには7人が参加し、上位入賞者も複数いた。意欲がなければ続かないし、何より自ら手を挙げた学院生が多かった意義は大きい。難関の第三種電気主任技術者(電験三種)の合格者も2人出た」
―今後の課題は。
「人材育成面で7月に県電気工事業工業組合と連携協定を結んだ。今後も産業界との連携を広げる。入校者を増やすことも課題。訓練を受けることで技術・技能や資格を得られ、安定した職業生活を送れるメリットを訴える。やっと1期生が修了したばかり。就職結果を発信し、理解者を広げることが必要だ」
県立産業技術学院は、職業能力開発促進法に基づく職業能力開発校。建築技術・設計、機械技術、電気システム、木工芸デザイン、自動車工学の5科がある。問い合わせは佐賀県農林水産商工本部(0952・25・7310)へ。
「工業高校でもここまでやらない」現学院長 織田良範氏インタビュー
日刊工業新聞2014年9月2日 ひと&会社面「人材育成/キーパーソンに聞く」
―県の職業訓練校として2012年4月に学科を再編。同時に、全国で珍しい公募学院長として就任し、改革に取り組んでいます。
「施設内訓練のカリキュラムを2年課程に統一し、新規学卒者や若年離職者に対する技術・技能の育成に特化した。私は県立工業高校の校長を定年退職後に一般公募を経て就いた。教育界から飛び込んだ者として技術・技能の育成だけでなく、人づくりが産業界に応えられる部分だ」
―3月に再編後の1期生が修了しました。
「修了生31人の就職率は100%で、うち県内就職率は90%と地元へ貢献できた。インターンシップ(就業体験)の効果が特に大きく、体験先に就職するなど“お見合い”がうまくいった。納得した職を得られた点も大きい。学科再編を通して学院のイメージが『進学できない人の受け皿』というものから向上、新規就職先も開拓できた」
―企業ニーズをどう捉えていますか。
「中小企業では社内教育の時間がなく、あいさつやコミュニケーションが重要と言われる。当学院は社会人基礎力の養成を掲げており、それがマッチした。就職先からは社会人として即戦力になると褒めていただいた」
―具体的な養成法は。
「どの場面で、どのような力をつけるか意識して場面づくりを行う。例えば、授業中に発言を促すことや班長制、チーム制でコミュニケーション力を養う。毎朝のモーニングアップ(実習朝礼)でのラジオ体操も以前と変わった点だ。学院生のうち新規学卒者は半数以下で過半数が転職者。家庭を持つ人もいれば主婦もいた。同期の中に年齢差があることも社会性の養成に貢献した。また、個別指導の充実も効果が大きかった。工業高校でもここまではやらない」
―技術面も重要です。
「2年間で技術や技能を身につけるが、工業高校と違って実習は毎日行う。社会人基礎力もそうだが、短期間では養成が難しい。設備面では工作機械や自動車工学科向けのハイブリッド車など、各学科で最新設備をできるだけ導入している。前回の技能五輪全国大会や若年者ものづくり競技大会などには7人が参加し、上位入賞者も複数いた。意欲がなければ続かないし、何より自ら手を挙げた学院生が多かった意義は大きい。難関の第三種電気主任技術者(電験三種)の合格者も2人出た」
―今後の課題は。
「人材育成面で7月に県電気工事業工業組合と連携協定を結んだ。今後も産業界との連携を広げる。入校者を増やすことも課題。訓練を受けることで技術・技能や資格を得られ、安定した職業生活を送れるメリットを訴える。やっと1期生が修了したばかり。就職結果を発信し、理解者を広げることが必要だ」
日刊工業新聞2015年12月15日 中小企業・地域経済2面