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ダイハツが初の乗用車HV、慎重だった実用化に踏み切った理由

ダイハツが初の乗用車HV、慎重だった実用化に踏み切った理由

新型「ロッキー」のハイブリッド車モデル

ダイハツ工業が、同社開発の乗用車としては初となるハイブリッド車(HV)を投入した。1日に小型スポーツ多目的車(SUV)「ロッキー」に、エンジンで発電した電力を使ってモーターのみで走行するシリーズ方式のHVモデルを設定して発売した。燃費(WLTCモード)は、1リットル当たり28キロメートルと小型SUVでトップクラスの低燃費を達成した。ロッキーを皮切りに、主力の軽自動車でもHVモデルを増やしていく方針。

ダイハツが投入したロッキーHVは、排気量1200ccエンジンを発電専用とし、発電用と駆動用で二つのモーターを配置する。低燃費に加え、高い加速性能、静粛性なども特徴という。消費税込みの価格は、クラス最安値という211万6000円から。

HVモデルのほかに、同1200ccのガソリン車、同1000ccの4輪駆動ターボ車を設定し、パワートレーン(駆動装置)別では三つのラインアップとした。月販目標はHVモデル700台を含め合計で2000台。トヨタ自動車には「ライズ」としてOEM(相手先ブランド)供給する。

ダイハツの仲保俊弘エグゼクティブチーフエンジニアは、オンライン会見で「小さい車に最適の電動技術。二酸化炭素(CO2)排出量の大きな車種から展開していく」と説明した。

ダイハツは2005年に軽商用車「ハイゼット」でHVモデルを発売したが、累計約400台で10年ごろ生産を終了した。乗用車でHV展開は、トヨタからのOEM(相手先ブランド)調達車に限られていた。1960年代から電動車を研究開発してきたものの、主力の軽は低価格を売りとしており、コスト高となるHVの実用化に慎重だった。

しかし世界的にカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)を目指す動きが活発化しているほか、トヨタから電池やモーターの技術を得られたため今回、小型車からHV化に踏み切った。トヨタグループの中で開発を進め、小型車・軽の電気自動車(EV)化も急ぐ。

日刊工業新聞2021年11月2日

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