FITが縮小しても太陽光は日本の電力を生み続ける
2030年までに太陽光による発電を53 GW(ギガワット)にするという政府目標の達成に向け、日本の太陽光発電市場はここ数年で大きく成長している。国土が狭いにも関わらず、政府の奨励策によって2014年の合計発電量は23.3 GWに達し、日本は太陽光エネルギーの総発電量で世界をリードする存在になった。
自然エネルギー財団は今年すでに、太陽光発電の収益性が確かなものになったと報告しており、これで日本も太陽光発電技術が経済的に成り立つG7諸国に名を連ねられることになる。国内ではすでに、島国の地形を活かして数千枚の防水型ソーラーパネルによる浮遊式「ソーラーアイランド」の建設、閉鎖されたゴルフコースの太陽光発電所への転用、といったことが各所で進められている。
しかしこのブーム、いま太陽光発電業界が直面している二つの大きな課題に対処できなければ、減速せざるを得ない。その二つの課題とは、再生可能エネルギー固定買取制度(以下FIT)の買取価格低下と送電インフラの老朽化だ。ここでは、この課題解決のために日本が活用すべき技術について考えてみる。
2012年7月に導入された日本のFITは非常に推進力ある制度であったことから、国内のソーラー投資を一気に呼び込む引き金となった。2015年3月末までの時点で、日本で導入された太陽光による発電量はFIT以前と比べて3倍以上。
しかし今年、このFITのプレミアム価格は終了になる。経済産業省は4月に太陽光の固定買取価格を16%引き下げ、1kWhあたり32円から1kWhあたり27円とすることを決定。この引き下げのきっかけは、市場が成熟し太陽光発電の操業維持コストが下がったと見られるようになったことだ。
FITの買取価格が下がれば、太陽光発電業者はコストを下げて効率性を高める新たな方法を探す必要がある。従来より高効率な1.5kVのインバータのような新技術は、これまでの業界標準の1.0kVのものと比較して電圧を50%上昇させることが可能となり、結果、システム全体のロスを低減できることになる。
さらに、1.5kV、4メガワットのインバータは業界標準のインバータの4倍の電力密度を提供できることから、従来では4台必要だったインバータを1台に置き換えることが可能になる。インバータステーションが少なくなることで、操業コストは最大30%まで削減され、資本コストも大幅削減できるため、設置と維持の両方のコストを落とすことが可能になる。この新しい「1.5kV技術」は、太陽光発電における電力変換コスト、規模、効率性を新しい次元に高めようとしている。
日本の太陽光発電業界が直面している課題のもう一つは、仕組み(送配電)システムが老朽化しつつある送電インフラと統合されていること。問題の一部は、日本の送電網の規模が比較的小さいこと、地域の電力系統との間に互換性がないことにある。
過去3年間で日本の太陽光発電量は拡大し、FITの承認を得た太陽光発電プロジェクトは17.5 GWほどに上る。しかし送電能力が追い付かないために、そうした発電プロジェクトが中止のリスクに晒されている。
快晴のもとで発電された潤沢な電力の取り扱いもまた、太陽光発電業者や送配電を行う電力会社にとって大きな課題になっている。実際、電力会社は新たな太陽光電力供給業者の受け入れを拒否する理由として、電力供給の変動性を挙げている。
日本の太陽光電力供給業者にとって、信頼性と一貫性をもって日本の厳しい業界基準を満たしていける能力を持つことが極めて重要。そのためには安定した電力の出力が欠かせない。
例えば、GEパワーコンバージョンの「SunlQ」という発電所用の制御システムは、送電網に供給される電力の最大化と出力の制御をサポートしながら太陽光発電所内に設置された全てのインバータを調整することができる。
SunIQは「GEストア」のコンセプトで開発されたシステム。「GEストア」とは、GEの世界中の専門家たちが連携し、事業や業界にまたがって知見やアイデアを共有し、製品やサービスの開発力を高めるもの。SunIQは風力発電事業で使用されていた。
天候の見通しが読めない状況下でもSunIQは自動的にインバータの出力を高め、要求される水準で総出力量を維持することができる。同様に、SunIQはピーク時のベースロード発電を安定的にサポートするなど、変化する送電状況に応じてインバータが確実に対応できるようにしている。
発電所制御システムとインバータ間の迅速な統合が可能となり、発電業者が迅速に発電を実行し、効率を最大化することができるようになっている。
課題があるものの、今後数年で日本のエネルギーミックスは徐々に、確実に再生可能エネルギーの比率が増えていくことが予見されている。太陽光発電は従来の化石燃料を用いた発電や原子力発電に置き換えられていくだろう。
これは日本が2016年3月までに石油による火力発電所2.4 GW分の閉鎖を計画している事実でも示されている。業界が直面している課題を新技術で克服することにより、日本では太陽光発電の次の発展の波をすぐそこに引き寄せることができるはずだ。
自然エネルギー財団は今年すでに、太陽光発電の収益性が確かなものになったと報告しており、これで日本も太陽光発電技術が経済的に成り立つG7諸国に名を連ねられることになる。国内ではすでに、島国の地形を活かして数千枚の防水型ソーラーパネルによる浮遊式「ソーラーアイランド」の建設、閉鎖されたゴルフコースの太陽光発電所への転用、といったことが各所で進められている。
しかしこのブーム、いま太陽光発電業界が直面している二つの大きな課題に対処できなければ、減速せざるを得ない。その二つの課題とは、再生可能エネルギー固定買取制度(以下FIT)の買取価格低下と送電インフラの老朽化だ。ここでは、この課題解決のために日本が活用すべき技術について考えてみる。
1. エネルギー効率を高めることで、FITの買取価格低下に対処
2012年7月に導入された日本のFITは非常に推進力ある制度であったことから、国内のソーラー投資を一気に呼び込む引き金となった。2015年3月末までの時点で、日本で導入された太陽光による発電量はFIT以前と比べて3倍以上。
しかし今年、このFITのプレミアム価格は終了になる。経済産業省は4月に太陽光の固定買取価格を16%引き下げ、1kWhあたり32円から1kWhあたり27円とすることを決定。この引き下げのきっかけは、市場が成熟し太陽光発電の操業維持コストが下がったと見られるようになったことだ。
FITの買取価格が下がれば、太陽光発電業者はコストを下げて効率性を高める新たな方法を探す必要がある。従来より高効率な1.5kVのインバータのような新技術は、これまでの業界標準の1.0kVのものと比較して電圧を50%上昇させることが可能となり、結果、システム全体のロスを低減できることになる。
さらに、1.5kV、4メガワットのインバータは業界標準のインバータの4倍の電力密度を提供できることから、従来では4台必要だったインバータを1台に置き換えることが可能になる。インバータステーションが少なくなることで、操業コストは最大30%まで削減され、資本コストも大幅削減できるため、設置と維持の両方のコストを落とすことが可能になる。この新しい「1.5kV技術」は、太陽光発電における電力変換コスト、規模、効率性を新しい次元に高めようとしている。
2. スマートプラントの制御システムで老朽化した送電インフラ問題に対処
日本の太陽光発電業界が直面している課題のもう一つは、仕組み(送配電)システムが老朽化しつつある送電インフラと統合されていること。問題の一部は、日本の送電網の規模が比較的小さいこと、地域の電力系統との間に互換性がないことにある。
過去3年間で日本の太陽光発電量は拡大し、FITの承認を得た太陽光発電プロジェクトは17.5 GWほどに上る。しかし送電能力が追い付かないために、そうした発電プロジェクトが中止のリスクに晒されている。
快晴のもとで発電された潤沢な電力の取り扱いもまた、太陽光発電業者や送配電を行う電力会社にとって大きな課題になっている。実際、電力会社は新たな太陽光電力供給業者の受け入れを拒否する理由として、電力供給の変動性を挙げている。
日本の太陽光電力供給業者にとって、信頼性と一貫性をもって日本の厳しい業界基準を満たしていける能力を持つことが極めて重要。そのためには安定した電力の出力が欠かせない。
例えば、GEパワーコンバージョンの「SunlQ」という発電所用の制御システムは、送電網に供給される電力の最大化と出力の制御をサポートしながら太陽光発電所内に設置された全てのインバータを調整することができる。
SunIQは「GEストア」のコンセプトで開発されたシステム。「GEストア」とは、GEの世界中の専門家たちが連携し、事業や業界にまたがって知見やアイデアを共有し、製品やサービスの開発力を高めるもの。SunIQは風力発電事業で使用されていた。
天候の見通しが読めない状況下でもSunIQは自動的にインバータの出力を高め、要求される水準で総出力量を維持することができる。同様に、SunIQはピーク時のベースロード発電を安定的にサポートするなど、変化する送電状況に応じてインバータが確実に対応できるようにしている。
発電所制御システムとインバータ間の迅速な統合が可能となり、発電業者が迅速に発電を実行し、効率を最大化することができるようになっている。
課題があるものの、今後数年で日本のエネルギーミックスは徐々に、確実に再生可能エネルギーの比率が増えていくことが予見されている。太陽光発電は従来の化石燃料を用いた発電や原子力発電に置き換えられていくだろう。
これは日本が2016年3月までに石油による火力発電所2.4 GW分の閉鎖を計画している事実でも示されている。業界が直面している課題を新技術で克服することにより、日本では太陽光発電の次の発展の波をすぐそこに引き寄せることができるはずだ。