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トヨタの環境宣言に腹をくくる工作機械業界。激変への幕は上がった

金属積層の波に“賢母”のままでいられるか
トヨタの環境宣言に腹をくくる工作機械業界。激変への幕は上がった

東芝機械などが開発した金属3Dプリンター

 2015年は工作機械の将来像を、これまでに以上に考えさせられる出来事がいくつかあった。トヨタ自動車の環境方針が、一つだ。50年にエンジンのみで走るクルマをほぼゼロにするという。自動車分野を中心とする工作機械産業への影響は計り知れない。また、金属積層造形機の開発加速も同様だ。

 トヨタは10月、長期環境方針「トヨタ環境チャレンジ2050」を発表した。燃料電池車(FCV)やハイブリッド車(HV)などを増やし、50年に新車平均走行時で二酸化炭素(CO2)を10年比90%削減するという。「ガソリン車などはゼロにはならないが生き残れない」(伊勢清貴トヨタ専務役員)と、”純粋“なエンジン車が極めて減るとの見通しを明らかにした。

 エンジンの絶対量が減るかは不明だが、モーターなどとの組み合わせが進めば、現在のエンジンや変速機の構成、サイズなどが大きく変わり、工作機械そのものも変化を迫られるかもしれない。

 トヨタと関係が深い工作機械メーカーの幹部は「トヨタが50年と日時を示したということは、必ず前倒ししてくる」と、未来予想図といったレベルの話ではないと警戒する。

 ジェイテクトは時を前後し、ベアリング、工作機械といった事業横断の調査チームを立ち上げた。将来の工作機械像を探るためだ。トヨタの今回の環境方針に加え、これから金属を削って形に仕上げる切削型から、いわゆる金属積層造形機による積層型への転換が進むとなれば、早急に手を打つ必要がある。有識者らに聞き取りし、16年3月には報告書をまとめる予定だ。

 金属積層技術は14年始動の国家プロジェクト「TRAFAM」の成果が出始めた。工作機械メーカーでは三菱重工業東芝機械が試作を完成させたところだ。ドイツの産業政策「インダストリー4・0」やIoT(モノのインターネット)を含め、業界構造を変えうる種は蒔(ま)かれた。先の収穫に参加するべく、各社が準備を本格化している。
(文=六笠友和)
日刊工業新聞2015年12月11日 機械面
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
製造業のビッグデータが集まるようにどのような仕掛けを作れるか。それには各社の規模が小さすぎる。再編への幕もあがる。

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