ヤマハが創り出す「マルチルームオーディオ」は市場で響くか

「音の良さ」で優位性。世界シェアトップ狙う

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スマホとタブレットで複数のオーディオを操作するマルチルームオーディオ
 ヤマハは、スマートフォンやタブレット端末で家庭内の複数のオーディオ機器を操作できるマルチルームオーディオ事業を深耕する。「ミュージックキャスト」機能として今後、発売するほぼ全てのオーディオ製品に搭載する方針。来春には大規模な販促活動も検討中。欧米で先行し、日本でも市場拡大が見込まれる同分野で世界トップシェアを狙う。

 ミュージックキャストは例えば、父親がリビングルームで聴いているCDの音楽やテレビの音声を、料理中の母親はキッチンで、子どもたちは2階の子ども部屋で一緒に楽しむことができる機能。

 無線LANの「Wi―Fi(ワイファイ)」で家庭内ネットワークに接続する。スマホやタブレット端末(携帯型情報端末)に無料の専用アプリケーション(応用ソフト)をインストールすると、各部屋に置いてある複数の対応機器をまとめて操作できる。パソコンやサーバーに保存されている曲であれば、それぞれ別の音楽を聴くことも可能だ。

 一つのアプリで操作できる機器は最大10台。スマホやパソコンにそれぞれ保存されている音楽ファイルを一元管理できるのもメリット。アプリは近距離無線通信規格「ブルートゥース」での送信にも対応しており、他社製品にも接続できる。

品揃えは世界最多


 ヤマハは夏にホームシアタースピーカー「YSP―1600」のほか、AVレシーバーやインテリアオーディオなど、ミュージックキャスト対応製品約20種類を投入した。1メーカーのマルチルームオーディオの品ぞろえとしては、世界最多という。

 コア技術の専用チップは自社で開発した。「複数機器をつなげる技術は10年以上前から研究していたため、一気に製品展開できた」(音響営業統括部AV営業課)としている。

 マルチルームオーディオ市場は、ネット上のデータを受信しながら再生するストリーミング方式の音楽配信が主流となっている欧米で先行。中でも欧州市場の規模はここ数年で2倍以上に成長したという。ヤマハも9月の欧州見本市に製品群を出展したところ反響が大きく、「受注に生産が追いつかない状況」(同)だ。対応製品は中国、マレーシア、インドネシアの3工場で生産している。

 米国でも年明けに展示会が控えるほか、国内でも来春、大規模な販促活動を予定。「日本でも音楽配信サービスが本格化すれば、需要は高まってくるはず」(同)と期待する。

 今後発売するオーディオ機器には、基本的にミュージックキャスト機能を搭載し製品を拡充していく。国内でもメーカー間競争が活発化してきたが、「ヤマハらしい音の良さで勝負したい」(同)と優位性を強調する。
(文=浜松・田中弥生)

日刊工業新聞2015年12月9日 電機・電子部品面

COMMENT

明豊
執行役員 DX担当
デジタルメディア局長

日本ではマルチルームオーディオの認知度はまだ低いが、ソニーが本格参戦し9月にはグーグルが「Chromecast Audio」を発表、ニーズが一気に顕在化してくる可能性がある。

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