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「16年の黒字化が視野に入ってきそうだ」まだテレビで粘るのか東芝?

完全撤退へ待ったなし
 インドネシアのテレビ工場を売却する方針であることが明らかになった東芝。日本や欧州、北米向けの生産も終息しており、生産から完全撤退する格好だ。海外での販売も外部に委託しており、残るのは国内での開発と販売のみ。関係者はテレビ事業で2016年度の黒字化を狙うとするが、背水の陣となっている現状では、テレビ事業の完全撤退も視野に入れざるを得ない状況だ。

 東芝のテレビ事業は5年連続の赤字が続き、不正会計問題の前から立て直しが急務とされてきた。かねて海外テレビ事業の開発・生産から撤退し、ブランド供与型ビジネスに移行する方針を掲げていた。インドネシアの自社工場はすでに提携する台湾のコンパルに、エジプトの現地メーカー、エルアラビとの合弁工場は保有株式を同社に売却する方針が濃厚だと見られる。

 では残る日本では生き残るストーリーを描けるのか。東芝の担当者は「50型以上の4Kテレビの販売が伸びており、収益性は高まっている」とする。その上で「16年の黒字化が視野に入ってきそうだ」と強気な姿勢をみせる。今後は映像制作向けや、ホテル・病院といった特定業種向けなど、より利益率の高い分野への販売を増やすという。

 とはいえ画質など機能面での差別化はすでに難しく、価格競争も激化している。同じくテレビ事業の赤字に苦しんでいたが15年3月期に同事業を黒字化したソニーも、コスト削減や製品ミックス改善が利益を押し上げた主な要因だ。三菱電機のように、事業を限りなく縮小しながら続けるのも手だが、今の東芝にはそれだけの体力もない。各社が消耗戦を強いられている中、

 ただ「REGZA(レグザ)」ブランドの技術に一定の評価があり、多くのファンを抱えるのも事実。「聖域なき改革」をどこまで推し進められるかが改めて問われる。
日刊工業新聞2015年12月11日電機・電子部品面の記事を一部修正
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
他の国内メーカーの事業縮小との大きな違いは不正会計問題をきっかけにしたリストラ。コンシューマ事業はブランドや企業イメージに大きく左右されるだけに、販売から撤退が賢明だろう。

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