下町ボブスレー委員長が思い描く町工場は“究極のコンビニ”
東京・大田区の昭和製作所ー根底にあるのは「人を幸せにしたい」という思い
昭和製作所(東京都大田区)は、常に新しいことに取り組んで技術を向上させる。「主力製品の試験片に限らず『困ったら昭和製作所に頼めばいい』と言われる会社にしたい」と社長の舟久保利和は熱意を燃やす。目指すのはモノづくりの究極のコンビニエンスストアだ。
利和は大田区内の企業と積極的に連携を進める。自社でできない加工を周辺企業に頼めば仕事の幅が広がるからだ。また区内の町工場を中心に結成される下町ボブスレーネットワークプロジェクト推進委員会では委員長を務める。「プロジェクトをきっかけに他社と連携できるのはもちろん、特に年の近い若手経営者がどんな経営をしているのかを聞けて、良い刺激になっている」と明かす。
自社内では、試験メーカーと協業して新たな仕組み作りに取り組んでいる。加工・製造だけでなく試験片の基本的な検査に関しては同社で実施し、結果まで含めて提供したいという。新たなモノづくりを目指し、鍛錬の日々が続いている。
一方で人材育成にも心血を注ぐ。人生を賭けて社員一人ひとりと向き合う覚悟だ。現在、半年に1回は全員と面談を行っている。「社長である自分に正面から向き合ってきてくれる健康的な社内体制ができている」と話す。
2013年には社長就任以降、第1号となる新卒生が入社。15年4月には現場で技術を磨きたいという女性社員も加わり、人材の多様化と社内の若返りに成功している。利和は大学卒業後、2年間米国に留学している。この経験から多様な人材を活用するダイバーシティー経営の視点が身についた。「環境を整え次第、将来的には外国人や障害を抱える方も雇いたい」と未来を見据える。
さらに60年以上、本社工場を置く東京都大田区に対しては地域貢献の気持ちも強い。地元中学校の職業体験受け入れをはじめ、社会貢献の一環として学生の工場見学を積極的に受け入れる。さらには「地域の皆さんの気軽な休憩場所として、将来的に工場前の壁を取り払ってベンチを置きたい」と夢を語る。広い視野を持ち、自社の利益にとどまらない経営姿勢で前進し続ける。
利和の根底にあるのは「人を幸せにしたい」という思い。自社のことに限らず誰かのために何かをしたいという思いは祖父の利作、そして父親で会長の利明譲りだ。「大田区を元気に、大田区から元気を」。昭和製作所は、3代にわたり大田区を盛り上げ続ける。
(敬称略)
(文=門脇花梨)
利和は大田区内の企業と積極的に連携を進める。自社でできない加工を周辺企業に頼めば仕事の幅が広がるからだ。また区内の町工場を中心に結成される下町ボブスレーネットワークプロジェクト推進委員会では委員長を務める。「プロジェクトをきっかけに他社と連携できるのはもちろん、特に年の近い若手経営者がどんな経営をしているのかを聞けて、良い刺激になっている」と明かす。
自社内では、試験メーカーと協業して新たな仕組み作りに取り組んでいる。加工・製造だけでなく試験片の基本的な検査に関しては同社で実施し、結果まで含めて提供したいという。新たなモノづくりを目指し、鍛錬の日々が続いている。
一方で人材育成にも心血を注ぐ。人生を賭けて社員一人ひとりと向き合う覚悟だ。現在、半年に1回は全員と面談を行っている。「社長である自分に正面から向き合ってきてくれる健康的な社内体制ができている」と話す。
2013年には社長就任以降、第1号となる新卒生が入社。15年4月には現場で技術を磨きたいという女性社員も加わり、人材の多様化と社内の若返りに成功している。利和は大学卒業後、2年間米国に留学している。この経験から多様な人材を活用するダイバーシティー経営の視点が身についた。「環境を整え次第、将来的には外国人や障害を抱える方も雇いたい」と未来を見据える。
さらに60年以上、本社工場を置く東京都大田区に対しては地域貢献の気持ちも強い。地元中学校の職業体験受け入れをはじめ、社会貢献の一環として学生の工場見学を積極的に受け入れる。さらには「地域の皆さんの気軽な休憩場所として、将来的に工場前の壁を取り払ってベンチを置きたい」と夢を語る。広い視野を持ち、自社の利益にとどまらない経営姿勢で前進し続ける。
利和の根底にあるのは「人を幸せにしたい」という思い。自社のことに限らず誰かのために何かをしたいという思いは祖父の利作、そして父親で会長の利明譲りだ。「大田区を元気に、大田区から元気を」。昭和製作所は、3代にわたり大田区を盛り上げ続ける。
(敬称略)
(文=門脇花梨)
日刊工業新聞2015年12月11日 中小企業・地域経済面