円安・原油安の恩恵―。石化業界、好業績に沸く

輸出競争力が回復、アジア市況高もプラスに

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国内エチレン設備の平均稼働率
 2015年の石油化学業界はエチレンなど石化品の採算が改善し好業績に沸いた。円安で輸入品の流入が減り輸出競争力が回復。原油安による原燃料価格下落にアジア市況高が重なり、16年3月期の連結営業利益予想で三菱ケミカルホールディングスや住友化学、東ソーなどが過去最高の見通しとなった。

 石油化学工業協会がまとめた10月の国内エチレン生産設備の平均稼働率は93・0%。23カ月連続で損益分岐点の目安となる90%を上回った。

 要因は15年度上期(4―9月)にアジア地域のエチレン生産設備で定期修理が続いたほか、欧州にある同設備のトラブルで需給バランスがタイト化したアジア市況が回復。これにナフサ(粗製ガソリン)など原燃料価格の下落が重なり輸出の採算が改善した。

 円安で海外品の流入も減ったため、「しばらくなかった大きなフォローの風が吹いた」(淡輪敏三井化学社長)年となった。

 国内石化各社は下期(10月―16年3月)の景況について上期ほどではないものの、「中国経済減速の影響は現時点で出ていない。急に需要が悪化することはないだろう」(淡輪社長)と分析する。

 16年には水島コンビナート(岡山県倉敷市)で旭化成のエチレン生産設備が停止するため、引き続き国内エチレン生産の高稼働が続く見通しだ。

 上流の石油精製業界は原油安による採算悪化で再編が本格化しているが、業績が好調な石化業界は再編機運が一時後退した感は否めない。

 だが、淡輪社長は中国の景気減退がさらに加速した場合、「中国へ輸出できなくなった韓国・台湾品が日本に流入した際のリスクを考えなければならない」と指摘する。

 このほか、18年には北米のシェールガス、中国の石炭由来の安い化学品の生産が本格化する見通し。各社が発表する16年度からの次期中期経営計画では、こうした市場環境の激変を見据えた次の一手を用意しておく必要がありそうだ。
(文=水嶋真人)

日刊工業新聞2015年12月8日 素材面

COMMENT

村上毅
編集局ニュースセンター
デスク

原料安と市況の改善で、製品の利幅が拡大。石化業界は好業績に沸いているようだ。ただ、市況は変動しやすい。中国産や北米のシェールガス由来の輸入品が今後進出してくる。安穏としてもいられない。

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