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化学「超大型再編」さあ、国内勢はどうする?

独BASFが米デュポンの買収を検討!?
**三菱ケミカルHD社長「川上から川下までのサプライチェーン全体で勝負する時代になった」
 三菱ケミカルホールディングス(HD)の越智仁社長は9日、ダウ・ケミカルとデュポンの米総合化学大手の統合報道について「単体の企業で勝負するのではなく、川上から川下までのサプライチェーン(供給網)全体で勝負する時代になった」と分析。その上で「連携することでどのような革新技術を生み出せるかが国内化学産業の再編に向けたカギになる」との見方を示した。

 同社は同日、2016年度からの5カ年次期中期経営計画を発表し、20年度に営業利益3400億円(15年度予想は2480億円)、株主資本利益率(ROE)11%(同6・5%)を目標に掲げた。17年4月に化学系3事業会社を統合し、生産性の高い企業体質を実現。20年度までに1兆円の設備投資を行い、汎用品から高機能品への事業構造改革を加速させる。

 事業戦略のポイントは自動車軽量化や情報電子部材に使う高機能化学品、生命科学などの成長事業への重点投資。設備投資1兆円の半分を成長事業に振り向けるほか、M&Aを機動的に行える戦略的投資に5000億円、研究開発投資に7000億円を投じる。

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日本の化学産業は稼ぐ力に乏しい-「米ダウ×三菱ケミカル」首脳が討論
日刊工業新聞2015年12月10日3面&素材面の記事から抜粋
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
この記事は昨年の12月20日に公開したもの。複数の欧米メディアがBASFが米デュポンの買収を検討していると報じています。デュポンは昨年12月に米ダウ・ケミカルとの合併で合意しており、デュポン争奪戦の様相を呈してきた。 関連記事で、三菱ケミカルホールディングスの小林喜光会長は「日本の経営者は技術ありき。どこで稼ぐかというもうけのビジネスモデルを考えてこなかった。『和をもって尊しとなす』感覚により、欧米に比べて日本の化学企業数が多すぎる」と問題点を指摘している。もはや規模では勝てない日本勢はどうグローバル再編に対峙するか。

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