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いすゞ、キャブ骨格の共通化で部品共用化拡大

設計共通化広がる
 いすゞ自動車は設計の共通化や部品の共有を拡大する。大型トラックと中型トラックでキャブ(運転席)の骨格を共通化し、開発や生産を効率化した。大型路線バスでは中型トラックに搭載する4気筒のディーゼルエンジンを採用し、量産効果を高めた。乗用車と比べ生産量が少ない商用車で部品の共通化を積極的に進め、規模のメリットを最大限に取り込む。

 いすゞは10月末に日本で大型トラック「ギガ」を21年ぶりに全面改良して投入した。改良を機に中型トラックで車幅が大きい車型とキャブの骨格を共通化。その他の部品も一部で共有する一方、内装やドアなどの外装部品は大型トラック専用に設計した。荷台部分の架装を含め機能が多い大型トラック特有の使い勝手や運転環境を確保した。

 キャブの骨格の共通化はこれまで小型と中型トラックで標準的な車幅の車型でも実施。用途に応じてキャブの大きさが異なる中型トラックと大型や小型トラックで共通性を見いだし、開発の効率化や量産につなげる。

 大型路線バス「エルガ」では15年ぶりに全面改良して8月に発売したのを機に、ディーゼルエンジンを従来の6気筒から4気筒のエンジンに変更した。2段過給器の採用でエンジンをダウンサイジングし、燃費性能の向上や軽量化を図った。一方、同社の中型トラックは6気筒より4気筒のエンジンの搭載量が多く、トラックとの量産効果も取り込む。

 いすゞは2018年3月期まで3カ年の中期経営計画で商用車の販売台数を15年3月期比15%増の38万台にする目標を掲げる。部品の共通化で規模のメリットを生かし、競争力の高い車両の開発や増販につなげる。
日刊工業新聞2015年12月9日付自動車面
清水信彦
清水信彦 Shimizu Nobuhiko 福山支局 支局長
 自動車業界では設計の共通化が流行っています。その「元祖」とされるのが、独フォルクスワーゲン傘下でスウェーデンに本社を置くトラックメーカーのスカニア。とにかくスカニアという会社はすごく利益率が高くて、その秘訣が、あたかも「レゴブロック」のようにモジュール化して設計された部品を組み合わせて車種を開発してしまうという手法にあるのだとか。日野自動車が以前スカニアと提携していたのも、このモジュール設計の手法を取り入れたかったかららしいです。  いすゞの設計共通化にも、手強いライバル、もしくは絶好の先行事例がある、ということになります。 ただ、なぜ大型と中型で骨格を共通化できるのか、など、この記事からだけではよくわかりません。もっと詳しい続報を期待します。

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