バイオディーゼル、つくるときも環境に優しく

有害廃水の出ない製造法、東京都市大と前田道路が東京五輪に向け商用化に挑戦

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東京オリンピック・パラリンピックに向けた施設整備で燃料や資材としての利用を目標に、2018年ごろの実現を目指す
 植物油を原料とする軽油代替燃料「バイオディーゼル(BDF)」。再生可能エネルギーとして期待される一方、有害廃水を副生するのが難点だ。東京都市大学工学部エネルギー化学科の高津淑人准教授らは前田道路と共同で、有害な廃水を出さず、触媒は道路舗装材として再利用できる燃料の生産技術の商用化に挑んでいる。東京オリンピック・パラリンピックに向けた施設整備で燃料や資材としての利用を目標に、2018年頃の実現を目指す。

 BDFは、一般に使用済み天ぷら油などの廃食油にメタノールと水酸化アルカリ触媒を加えて製造する。ただ化学反応の過程で触媒が溶けるため、有害な水酸化アルカリを濃縮したグリセリンと廃水を副生する。これらは現状、廃棄物として処理される。

 こうした問題を解決するため、高津准教授らは、市販の石灰石(酸化カルシウム)を使った溶けない触媒を開発した。ナノメートルサイズ(ナノは10億分の1)に粉砕した粒子で、これを使えば廃水が出ない。

 使用済み触媒はグリセリンと混ざった状態で残るが、グリセリンを燃料に燃やすことで道路舗装材として再利用できる。自治体関連施設ではこの触媒でBDFを生成し、同施設所有のバスを走らせるなど“地産地消”での利用を実証している。

 目標としているのは2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催に向けた施設整備などでの活用だ。生成したBDFで整備用トラックを走らせ、使用済み触媒は競技場周辺の駐車場の舗装などでの利用を想定する。高津准教授は「環境に優しい技術で整備した場所として、オリンピックの開催時に紹介したい」と意気込む。

 課題は生成するBDFの品質向上。日本工業規格(JIS)の基準を満たし、外販できる体制にする必要がある。現状の蒸留技術でも達成できるが、蒸留装置は高価で、既存装置を利用した場合、価格は1リットル当たり250円に上る。「開発した技術を持続的に利用するには、同100円程度で生成できる手法を構築しなくてはいけない」(高津准教授)。現在、蒸留装置メーカー協力の下、安価な手法を模索している。

(文=葭本隆太)

日刊工業新聞2015年12月4日 科学技術・大学面

COMMENT

斉藤陽一
編集局第一産業部
デスク

再生可能エネルギーは使用段階における環境負荷の低さばかりが着目されがちです。しかし、いくら使うときに環境に優しくても、つくるときにそれ以上の環境負荷がかかってしまうようでは意味がありません。再生可能エネルギーを「製品」としてとらえ、原材料の調達、製造、流通、使用、廃棄を含むサプライチェーン全体でバランス良く環境負荷を低減する取り組みが求められているような気がします。

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