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ロボットと「対話」で心を豊かに―2015国際ロボット展レビュー

人工知能(AI)や音声認識技術などの開発が進む
ロボットと「対話」で心を豊かに―2015国際ロボット展レビュー

日本工業大学

 日常生活や介護・医療などの現場を豊かにするサービスロボットは、日本の”ロボット革命“実現の切り札と期待される。東京・有明の東京ビッグサイトで5日まで開かれている「2015国際ロボット展」では、豊かな表情やしぐさで人と上手にコミュニケーションを取るユニークなサービスロボが来場者を楽しませている。人工知能(AI)や音声認識技術などの開発が進み、多種多様なロボットが登場している。

日本工業大学/「ニコット」


 いつかは教壇に―。日本工業大学は教育用人型ロボット「ニコット」の開発に取り組んでいる。教授替わりに教壇に立たせるのが目標だ。

 7年ほど前に完成させ、段階的に進化させてきた。進化の一例が表情だ。人とのコミュニケーションには表情が欠かせないと考えた。当初は顔がなかったが、液晶画面に目を表示して表情を持たせた。頭部に加速度センサーを搭載し、一定時間動きがないと目を閉じ、寝顔になる。頭をたたけば泣き顔だ。

 現在はハンドの研究中だ。作動にはモーターを一切使わず、形状記憶合金の特性を生かす。これにより軽量で、モーター音が一切ないため、より人間に近い印象を与える。

パナソニック/「ホスピーリモ」


 パナソニックは人とのコミュニケーションを意識した「ホスピーリモ」を開発中だ。2013年に投入した、病院で薬を自動搬送するロボット「ホスピー」の運用を通じ、看護師や患者から寄せられた「ロボットと話したい」という声に応えた。

 自律移動するリモは、空港や駅をはじめとした公共施設が「職場」だ。音声を認識するほか、胸部のタッチパネルから人が情報を入力し、リモは情報を発信する。

 より複雑な対話のため、別に設けた「リモステーション」から遠隔操作できるようにした。ステーションからリモを通じ、人同士が対話できる。

 パナソニックは、20年の東京オリンピック・パラリンピックで訪日外国人が増えることから、多言語対応にする考えだ。

ピーシーキッド/「PASI(パシ)」


 ピーシーキッド(東京都千代田区)は、情感のある話し方ができるコミュニケーションロボット「PASI(パシ)」を開発した。ロボットが反応する言葉を事前に人が登録。AIと組み合わせて、情感のある言い回しを実現した。

 単に会話ができるだけでなく、形容詞の多い人間らしい話し方をする。今後AIのみの搭載で人らしい話し方を実現したいという。

 平岡哲夫社長は「当社ではAIを開発している。PASIで高めた技術を多様な場面で応用できれば」と意気込む。
日刊工業新聞2015年12月4日トピックスより一部抜粋
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
さまざまなロボットが受付や病院、家や学校にいる現実が迫っていることを実感しました。機械が対応と聞くと冷たい印象ですが、そうは感じさせない工夫が凝らされています。

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