慶応大が支援部署を本格稼働へ。「起業支援・起業家教育」の本気度

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慶応義塾大学は起業支援と起業家教育に全学で取り組む。教員・大学院生・卒業生による研究開発型ベンチャー(VB)の支援部署を整備し、2022年度に本格稼働させる。さらに学部1、2年生向けの正課科目を数年内に開講する計画。これまで慶大は自然発生的なVBが目立ったが、慶応義塾のベンチャーキャピタル(VC)を活用して組織的・戦略的な体制を整える。

5月に伊藤公平塾長の下、慶応義塾の理事会の常任理事に慶応義塾関連会社のVC、慶応イノベーション・イニシアティブ(KII、東京都港区)の山岸広太郎社長が就任した。山岸氏はグリー共同創業者の経歴を持ち、財務と募金などに加え、新設した「起業家教育・支援」担当として、慶大のイノベーション創出のプログラムを率いる。

従来、同大関連VBは学生発を含め個人の活躍により、目立つ企業が少なくなかった。しかし、国立大学のVC・起業支援が存在感を高める中、同大も組織的な支援が必要だと判断した。これまで技術移転部門やインキュベーション施設はあったが、新たに起業支援の専任職員を採用するなどVB支援部署を整備する。

KIIは16年から20社以上のVBに投資してきた。うち1社が株式上場し、数社が上場のめどを付けている。100億円規模の2号ファンドも設立したことから、同大が強みとする医療とIT関連で大学との相乗効果をより高めることにした。

数年内にアントレプレナーシップ(起業家精神)育成の科目を新設する計画で、文理や学部を越えた低学年向けに設計する。従来は特定学部での1科目などに限られていた。

同科目を通じてデザイン思考や課題発見・解決手法など学んだ文系学生にも起業を志してもらう。大学院生向けに事業計画立案や、資金調達の起業支援・教育も検討していく。

日刊工業新聞2021年8月5日

COMMENT

山本佳世子
編集局科学技術部
論説委員兼編集委員

慶大経済学部出身の山岸氏は、95年の大学入学を機にパソコンを本格的に始め、島田晴雄ゼミでベンチャー・起業の理解を深め、グリー共同創業へとつながっていったという。学生時代に起業などの刺激を受ける重要性を、まさに実体験しているわけだ。とはいえすでに各教員が考える「学ぶべきこと」で一杯の時間割の中で、すべての学生を対象にした低学年向けの科目を置くことは、簡単ではないという。新たな専任教員の採用にしても、優れた人に慶大に来てもらうには工夫がいるだろう。それだけに、慶大がまさに”組織として”取り組み、学内の賛同を広げていくことが重要になってきそうだ

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慶応義塾大学

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