世界で活発化する中銀銀行デジタル通貨プロジェクト。日本の動向は?

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政府・日銀は来年度中までにCBDCの実証実験を行う(東京都中央区の日銀本店)

中央銀行デジタル通貨(CBDC)のプロジェクトが各国で活発化してきた。欧州中央銀行(ECB)が「デジタルユーロ」の発行に向け調査を開始したほか、日銀は「現時点でCBDCを発行する計画はない」ものの、4月に実証実験を開始した。バハマとカンボジアが各国に先駆けてCBDCを発行したのが2020年10月。1年足らずでCBDCをめぐる動向は急速に変化している。(編集委員・川瀬治)

金融庁は21年7月に立ち上げた「デジタル・分散型金融への対応のあり方等に関する研究会」でCBDCについて議論を開始した。CBDCは低コストで迅速な送金ができるほか、途上国の金融包摂も見込めるなどの利点がある。一方で、マネーロンダリング(資金洗浄)対策やテロ資金供与対策、送金の安定性や確実な履行などといった課題もある。

CBDCは中央銀行が発行する既存の通貨を裏付けとするため、ビットコインなどの裏付け資産のない暗号資産(仮想通貨)と違って価値が安定しやすく、信認が得られやすい。CBDCが新しい決済システムになり得る可能性もある。

政府・日銀は22年度中までに行う実証実験の結果を踏まえ、制度設計の大枠を整理し、パイロット実験や発行の実現可能性や法制面の検討を進める。

中国では「デジタル人民元」の発行に向けて準備が急ピッチで進んでいる。実証実験を20年10月以降、複数の都市で実施した。22年2月の北京冬季五輪期間中に、外国人向けにもデジタル人民元の利用を可能にするなど、大規模な実験を検討している。国際協調の動きもある。21年6月にロンドンで開かれた先進7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議では、CBDCの持つべき共通原則について結論を年内に公表することで合意した。G7で結束して国際通貨システムの安定性を注視していく考えだ。

CBDCの発行をめぐって、今後、米欧中の覇権争いが起こる可能性がある。ドルに基軸通貨が変わって約80年。CBDCの登場でドルの基軸通貨体制の行方が注目される。

日刊工業新聞2021年8月3日

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