全固体電池の確立も。経産省が描く自動車電動化計画の中身
経済産業省は自動車の電動化に向けた次世代蓄電池の研究開発計画を公表した。今後10年間で、全固体電池などの高性能蓄電池や、温室効果ガス排出量を抑えた蓄電池製造技術などを確立する。自動車利用時の二酸化炭素(CO2)排出量は世界全体の16%を占める。開発技術の実用化で、2040年に世界で年間2億6000万トンのCO2削減効果と、同技術を搭載した新車の販売市場規模62兆円を見込む。
研究開発の取り組みとして、電池パック形状で現状の2倍となる1リットル当たり700ワット―800ワット時の高容量蓄電池を開発する。さらに特定国からの輸入に頼っているコバルトや黒鉛などの使用量を減らした蓄電池材料の検討や、温室効果ガス排出量を1割減らす材料製造技術などを確立する。
同計画はカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)の実現を目指す2兆円の研究開発基金「グリーンイノベーション基金」のプロジェクトの一環。
世界で車載用蓄電池市場が拡大している。50年には家庭や産業など定置用と車載用を合わせた蓄電池の市場規模が、19年度比20倍の100兆円との試算があり、米国や欧州、中国では蓄電池に関する国家プロジェクトが進んでいる。
日本のグリーン成長戦略では、35年までに乗用車の新車販売で電動車100%の実現目標を掲げている。そのため、30年までに国内の車載用蓄電池の製造能力を100ギガワット時、ガソリン車とのコストと同等になるよう車載用蓄電池パックの価格を1キロワット時当たり1万円以下の実現を目指している。
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