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コネクターも挿入できます!エプソンが垂直多関節型で攻勢

スカラ型より市場規模の大きさ魅力。可搬8キロの6軸投入、来春には2・5キロも
コネクターも挿入できます!エプソンが垂直多関節型で攻勢

垂直多関節ロボット「C4」。「C8XL」はC4の重可搬モデル

 セイコーエプソンは2015年度内をめどに可搬質量8キログラムの6軸垂直多関節ロボット「C8XL」を国内投入する。同社の垂直多関節型では最高となる可搬能力が売り。スマートフォンの筐体をはじめとした金属部品の搬送用途などを狙う。アームが長いタイプなど複数種を用意し工程に合うモデルをユーザーが選べるようにする。電子機器製造受託サービス(EMS)企業などに売り込み、垂直多関節型でのシェア拡大につなげる。

 C8XLは可搬質量4キログラムの垂直多関節ロボット「C4」の重可搬モデル。工作機械で削り出した金属部品などを搬送できる。アーム先端で部品をつかむ機器の重さを含めると、同4キログラムでは足りないことが多いため、新たに開発した。

 アームの長さは可動範囲が1400ミリメートルや900ミリメートルのタイプなど、複数種を用意する。これにより、工作機械など周辺設備の設置状況に合わせて導入できるようにする。EMS工場など、レイアウトに制約のある現場のニーズに応える。

 セイコーエプソンは電気電子分野向けの小型ロボットを得意とし、水平多関節(スカラ)ロボットの世界シェアで首位。EMS工場向けで急速に販売数を伸ばしているほか、近年は車載用電子部品の製造用途などでも実績を残している。このためC8XLの用途として、コネクターの挿入作業なども想定している。

 スカラ型より市場規模の大きい垂直多関節型を強化し、ロボット事業の成長を加速させる。2016年春には同2・5キログラムの新垂直多関節ロボットも投入する予定。
日刊工業新聞2015年11月27日ロボット面
政年佐貴惠
政年佐貴惠 Masatoshi Sakie 名古屋支社編集部 記者
エプソンは2015年度に160億円のロボット事業の売上高を、2025年度に1000億円まで引き上げると意気込んでいる。将来的にはディープラーニングも活用していく見込みだという。エプソンは自社の生産ラインでロボットを試験導入して性能を高め、市場投入するのが基本方針。一方で最近は生産自動化に強みを持つ同業他社のキヤノンも、ロボット事業に興味を示している。エプソンが得意とする分野での競争が激しくなりそうだ。

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