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銀座・免税店競争の勝算。百貨店も化粧品各社も“爆買い”に魅せられて

来年から出店ラッシュ。ロッテが春に国内最大級の店舗
 東京・銀座地区で訪日外国人の獲得競争が2016年から本格化する。同年には三越伊勢丹ホールディングス(HD)が三越銀座店に空港型免税店を、韓国ロッテが数寄屋橋阪急跡に東急不動産が開設する商業施設に大型免税店を開設。さらに建て替え中の松坂屋銀座店が17年1月に訪日外国人を意識したコンセプトで開店する。”爆買い“需要を狙った小売りの出店攻勢に合わせ、化粧品メーカーなどが急ピッチで出店調整を進めている。

 東京・銀座は国内最大級の商業集積地であるうえ、交通面でも立地条件が良く、訪日外国人客のツアーに欠かせないエリア。三越伊勢丹HDでは三越銀座店の15年4―9月期の売上高が”爆買い“の恩恵を受けて前年同期比26%増となった。同店をはじめとする都内の基幹店がけん引して上期の免税売上高は同約3倍の約300億円となり、16年3月期も前期比倍増以上の700億円を見込む。

 この勢いに乗って訪日外国人への取り組みをいっそう強化するのが三越銀座店が16年早期に開設する空港型免税店の目的。先行して今年9月に店舗に隣接して訪日外国人向けの化粧品カウンター「ツーリスト ショップ&ラウンジ」を開設した松屋銀座店も販売好調だ。

 来春には韓国のロッテグループが、東急不動産が銀座5丁目の数寄屋橋交差点で開発を進める商業施設に、売り場面積約4400平方メートル、都内最大級の大型免税店を開設する。

 こうした各社の手ごわい競合相手になりそうなのが松坂屋銀座店。現在、複合施設へと建て替え工事中で17年1月にオープン予定。1階には銀座地区初の観光バスの乗降スペースや観光案内所を設置するなど、建物の設計から訪日外国人客を強く意識した店舗になる見通しだ。

資生堂は3ブランドで攻勢


 訪日外国人が爆買いする代表的な商品が化粧品。特に訪日中国人の購入率は76・8%、購入単価は4万996円に上る。こうした追い風の中での東京・銀座の“免税店街化”に、化粧品メーカーも着々と出店準備を進めている。

 資生堂は三越伊勢丹HDが三越銀座店に開設する空港型免税店に高級化粧品ブランド「SHISEIDO」と「クレ・ド・ポーボーテ」「ザ・ギンザ セルジュ・ルタンス」を出店する。スキンケア化粧品やポイントメーク、香水で5000円―5万円と高価格帯だ。同社では「中価格帯はドラッグストアでも買えるため、訪日客に人気のあるものを紹介したい」という。

 コーセーは、韓国ロッテの空港型免税店に出店するとみられる。訪日外国人が購入する代表的なスキンケア化粧品「雪肌精」に加え、高級ブランド「コスメデコルテ」「アルビオン」なども訪日外国人に人気だ。

 ファンケルは複数の空港型免税店の出店に向け調整を進めている。スキンケア化粧品「マイルドクレンジングオイル」やコラーゲンなど化粧品と健康食品を展開する。勢いが衰えない”爆買い“需要獲得のため、化粧品各社の競争もヒートアップしていきそうだ。
(文=森谷信雄、山下絵梨)
日刊工業新聞2015年11月24日生活面
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
銀座の街の魅力がますますなくなる。そして世界の大都市の中心地がだんたんと似てきているような。

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