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【音声解説】コロナ禍が急増させた「オンライン株主総会」、今後も増えるの?

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22回目は「時間軸が急激に動いた。コロナでオンライン総会の実施が2.5倍に」について経済部の高島記者が解説します。紹介した記事と合わせて音声配信をお楽しみください。
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コロナ禍では2年目となる2021年3月期決算企業の株主総会が6月29日にピークを迎えた。多くの企業がインターネットや郵送による事前議決権行使の呼びかけ、お土産の廃止などで、株主に来場を控えるよう求めた。オンライン株主総会の実施企業は320社に上り、20年3月期の122社から約2・5倍に増加した。コロナが株主総会のオンライン化を推し進める格好となったが、アフターコロナでもこの流れはさらに進みそうだ。(高島里沙)

東京証券取引所の調査によると6月29日は上場企業2302社のうち628社が株主総会を開いた。オンライン株主総会の実施企業は増加したが、映像をライブ配信するだけで質問などができない「参加型」が306社とほとんどを占めた。会場に出席した場合と同様にリアルタイムで質問や議決権行使ができる「出席型」の導入企業は14社にとどまった。通信遮断時のリスクがあり課題は残されたままだ。

16日に改正産業競争力強化法が施行され、経済産業相や法相の確認を条件にオンラインのみで開催する「バーチャルオンリー株主総会」が可能になった。ただ招集通知の発送までに確認を得る必要があるため、6月の株主総会では間に合わず、実施する企業はなかった。大和総研政策調査部の鈴木裕主席研究員は「欧米などと比べて日本の法的対応は、コロナの影響の大きさもあるが、ゆっくりしたもので遅れたところがあるのが正直な印象」と指摘する。

アフターコロナにおいて株主総会の電子化も進みそうだ。改正会社法施行に伴い、22年中に株主総会資料の電子提供制度が導入され、23年春頃から適用が始まる見込みだ。企業は株主総会資料をウェブサイトに掲載して株主に提供できるようになる。招集手続きの電子化によって、議決権行使や当日の総会運営にも電子化の動きが波及しそうだ。

三菱UFJ信託銀行法人コンサルティング部の中川雅博部付部長は「電子化が進み、電子投票が増えバーチャル総会の利用も進む。コロナの感染拡大は改正会社法による株主総会電子化の動きを先取りする形になり、時間軸が急激に動いた」と分析する。

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