日本の化学産業は稼ぐ力に乏しい-「米ダウ×三菱ケミカル」首脳が討論

IoT活用し競争力を向上できるか

  • 0
  • 2
パネル討論会を行った小林会長(左から2人目)、フィッタリング副会長(同4人目)ら
 ダウ日本イノベーション・デーがシャングリラホテル東京で開かれ、米化学大手ダウ・ケミカルの経営首脳と三菱ケミカルホールディングス(HD)の小林喜光会長らが「化学産業が担うべき日本の未来」をテーマにパネル討論会を行った。小林会長は「日本の化学産業は優れた技術を持つが、稼ぐ力に乏しい」と指摘。原料供給だけでなく顧客が抱える課題を総合的に解決する提案力強化を求めた。

 小林会長は優れた技術を利益に結びつけられない理由を「日本の経営者は技術ありき。どこで稼ぐかというもうけのビジネスモデルを考えてこなかった」と指摘。あまりもうからなくても皆で幸せになれば良いという『和をもって尊しとなす』感覚により、「欧米に比べて日本の化学企業数が多すぎる」ことを問題点に挙げた。

 この解決策としてダウのジョー・ハーラン副会長兼最高営業責任者(CSO)は「競争なくしてイノベーション(革新)はない。次のブレークスルー(突破口)は何か。そこでどう競争優位性を見いだすかが重要だ」と強調した。ジム・フィッタリング副会長兼最高執行責任者(COO)は「メガトレンド(大きな潮流)を推進するため、生活の質を上げる価値を提供すべきだ」と指摘した。

 これに対し、小林会長は中国が生産増強を続ける汎用化学品へ投資できなくなった分、ヘルスケア、環境分野でイノベーションを見つけ出そうとしている日本の化学産業の動きを紹介。「自己資本利益率(ROE)経営を取り入れるなどアベノミクス以降、確実に日本人経営者のマインドが変わった」とした。

 ただ、イノベーションを見つけ出す確率が減っているため、すべてのモノがネットにつながるIoTの活用で日本の化学産業の競争力を上げる動きが出ており、討論会ではIoT活用法について小林会長がダウ経営陣に質問する一幕も。

 ダウのフィッタリングCOOは、40年前に100人必要だったエチレン生産設備の運営人数が技術革新で約10人に減っている事例を紹介。その上で「大規模データベースを用いて短期間にさまざまな研究を行う新しい開発の局面を迎えるだろう」との見方を示した。

日刊工業新聞2015年11月27日素材

COMMENT

村上毅
編集局ニュースセンター
デスク

市況変動の煽りを受けやすい素材産業。それでも化学業界は、日本企業と欧米企業とでは稼ぐ力に開きがある。売上高利益率でみても三菱ケミカルの約3%に対し、欧米の同業は約10%超だそうだ。その差は何か―。収益事業への選択と集中とともに、IoTを活用した徹底的な生産の効率化は欠かせない。

関連する記事はこちら

特集