<矢島里佳の新聞clip11.27号>何のためにこの会社は生まれたのか
「世界の超一流企業であり続けるGEの口ぐせ」から感じた“本質”
1週間の日刊工業新聞の記事の中から、気になった記事をセレクト。新聞ならではのセレンディピティー(何かを発見する能力、偶然をきっかけにしたひらめき)の楽しさを伝えて頂きます。
みなさん、こんにちは。矢島里佳です。
ウェブニュースは1つずつ興味のあるニュースを読める閲覧性の高さは魅力的です。
けれども、偶然に出会う記事たちが、自分の興味や人生に強く影響をあたえる面白さは、紙新聞ならでは。デジタルの時代だからこそ、アナログの面白さにも気がつく。双方の魅力を和えながらニュースと向き合っていければと思います。
今週、選んだのはこの3本です。
●著者登場(『世界の超一流企業であり続ける GEの口ぐせ』=11月23日付)
●八十二銀、商品案内に「ペッパー導入」(11月23日付)
●埼玉りそな銀、ベビールームで授乳(北浦和西口支店に=11月25日付)
新聞をめくっていたら、偶然にもせいじさんのお顔を見つました。まさにセレンディピティー!思わず嬉しくなり読んでみると、いつどこでお話しても、軸のぶれない方だなと改めて思いました。インタビューにもお人柄が現れているように感じました。
「GEは、”この事業をやる会社”とは言ったことがなく、世界の困難なことを解決する。同時に、世界的に最も優れた業績を残すため、我々が力を発揮できることに取り組む。自分たちが将来に向かって何をやるべきか、常に考えている」。
事業が目的になってしまうと、気がつけば目の前のお金、利益にしか意識が行かなくなってしまいがち。そうではなく、何のためにその会社が生まれたのかの本質を見つめ続けながら働くことができれば、きっと永く続いていくのだと思います。
私たち和えるも、「日本の先人の智慧を活かしながら、そして今を生きる私たちの感性を和えながら、次世代につないでいきたい」。そのために、来年から本格的に、新たな新規事業にも挑戦するところ。伝統の灯火が消える前に、もう一度、日本を日本たるものにしている1つの重要なパートを担っている伝統産業が、暮らしの中の一部として、自然と溶けこんでいる未来を目指し、頑張っていこうと改めて思いました。
ロボットの導入については、人間が共に働くということを、ふと考えさせられる記事でした。商品知識を覚えるのは正直、人間よりもロボットの方が、正確なのは間違いありません。ロボットの場合は、覚えるという感覚ではないのだと思いますが、いずれにしろ人間よりもロボットのほうが、正確に、そして丁寧に、素早く、むらなく仕事をすることができます。そのうち接客業務はすべてロボットに取って代わられるのでしょうか。
この現実と向き合うと、人間が商品について説明する意義とは何か、もっというと、これは一事例で あり、 人間の存在意義を改めて考えざるを得ません。すると、今の教育自体を見なおさなければならない気がしてくるのです。ロボットにはなかなか難しい仕事ができる人、クリエイティブな発想と決断をできる人材が、より重要になってくるような気がしています。
―米ゼネラル・エレクトリック(GE)に関する2冊目で、今回は40の用語を取り上げています。
「日本企業にいた私がGEに来た当初、独特の言葉や略語に戸惑った。その言葉には歴史的背景や意味があり、GEが長年、課題解決してきた知恵が込められていると分かった。40の用語を取り上げることでGEが何をやろうとしているのか、全体像が見えてくる」
「代表的な用語はほぼカバーできている。例えば、大企業になると意思決定が複雑になり、顧客からも距離が離れてしまう。その中で、“シンプリフィケーション”は大企業がベンチャー企業のように素早く動くといった考え方で、会社や業務の複雑なことを簡素化するのに役立っている」
―本からは変化とスピードを重視していることが伝わります。
「GEが優れた製品を作っても、5年後にはどんな新しい技術や方法で競合が出てくるか見えない世界になっている。顧客も速いスピードで変化しており、変化を先取りしないといけない。世の中が先に変わり、自分たちが遅れることに危機感がある。GEとして変化の試みの一つが、“インダストリアル・インターネット”だ。産業機器とビッグデータを結ぶネットワークを構築しようとしており、今後の製造業を変える」
―GEの新しい価値観、行動基準である“GEビリーフス”が15年に本格導入されました。
「顧客に選ばれる存在であり続ける、より早くシンプルに、どんな環境でも勝ちにこだわるなど5項目からなる。これが我々の行動基準で、評価となっている。社内で行うことが、この考えに合っているかどうかを常に考え、実践している。我々は実行まですることを重視しており、文化として浸透させることが大切だ」
―こうした用語は実際、どのように役立ちますか。
「我々は国際展開している。世界中で国籍も考え方も違う多様な人たちがGE社員として働くには、共通の概念や仕事のやり方があると効率が良い。用語には仕事のやり方や行動基準、採用基準、文化などいろいろなものが表現されており、どの国でも使われている。GE社員は世界のどこに行っても、同じように仕事ができる」
―本を通じて伝えたいことは。
「変化の先取りが全体に込めたメッセージだ。顧客ニーズに応えられる会社になるため、会社がこのように変わらなければいけないという目的がはっきりしていれば、変化は怖くない。ただ、GEが行っていることをそのまままねするのではなく、思想や背景を読み取ってほしい。それを自分の会社に置き換えたらどうなるか、考える道具にしてもらいたい」
―GEも金融事業の縮小を進め、変化しようとしています。
「14年にエネルギー会社の買収を決め、より製造業にシフトし、金融は本業部分に絞り込む。GEは“この事業をやる会社”とは言ったことがなく、世界の困難なことを解決する。同時に、世界的に最も優れた業績を残すため、我々が力を発揮できることに取り組む。自分たちが将来に向かって何をやるべきか、常に考えている」
(聞き手=湯原美登里)
<プロフィル>
安渕聖司(やすぶち・せいじ、日本GE代表取締役・GEキャピタル社長兼CEO)
1979年(昭54)早大政経卒、同年三菱商事入社。06年GEコマーシャル・ファイナンスに入社、07年GEコマーシャル・ファイナンス・ジャパン社長兼最高経営責任者(CEO)、09年日本GE代表取締役兼GEキャピタル社長兼CEO。兵庫県出身、60歳。>
※『世界の超一流企業であり続ける GEの口ぐせ』(PHP研究所)
みなさん、こんにちは。矢島里佳です。
ウェブニュースは1つずつ興味のあるニュースを読める閲覧性の高さは魅力的です。
けれども、偶然に出会う記事たちが、自分の興味や人生に強く影響をあたえる面白さは、紙新聞ならでは。デジタルの時代だからこそ、アナログの面白さにも気がつく。双方の魅力を和えながらニュースと向き合っていければと思います。
今週、選んだのはこの3本です。
●著者登場(『世界の超一流企業であり続ける GEの口ぐせ』=11月23日付)
●八十二銀、商品案内に「ペッパー導入」(11月23日付)
●埼玉りそな銀、ベビールームで授乳(北浦和西口支店に=11月25日付)
新聞をめくっていたら、偶然にもせいじさんのお顔を見つました。まさにセレンディピティー!思わず嬉しくなり読んでみると、いつどこでお話しても、軸のぶれない方だなと改めて思いました。インタビューにもお人柄が現れているように感じました。
「GEは、”この事業をやる会社”とは言ったことがなく、世界の困難なことを解決する。同時に、世界的に最も優れた業績を残すため、我々が力を発揮できることに取り組む。自分たちが将来に向かって何をやるべきか、常に考えている」。
事業が目的になってしまうと、気がつけば目の前のお金、利益にしか意識が行かなくなってしまいがち。そうではなく、何のためにその会社が生まれたのかの本質を見つめ続けながら働くことができれば、きっと永く続いていくのだと思います。
私たち和えるも、「日本の先人の智慧を活かしながら、そして今を生きる私たちの感性を和えながら、次世代につないでいきたい」。そのために、来年から本格的に、新たな新規事業にも挑戦するところ。伝統の灯火が消える前に、もう一度、日本を日本たるものにしている1つの重要なパートを担っている伝統産業が、暮らしの中の一部として、自然と溶けこんでいる未来を目指し、頑張っていこうと改めて思いました。
ロボットの導入については、人間が共に働くということを、ふと考えさせられる記事でした。商品知識を覚えるのは正直、人間よりもロボットの方が、正確なのは間違いありません。ロボットの場合は、覚えるという感覚ではないのだと思いますが、いずれにしろ人間よりもロボットのほうが、正確に、そして丁寧に、素早く、むらなく仕事をすることができます。そのうち接客業務はすべてロボットに取って代わられるのでしょうか。
この現実と向き合うと、人間が商品について説明する意義とは何か、もっというと、これは一事例で あり、 人間の存在意義を改めて考えざるを得ません。すると、今の教育自体を見なおさなければならない気がしてくるのです。ロボットにはなかなか難しい仕事ができる人、クリエイティブな発想と決断をできる人材が、より重要になってくるような気がしています。
安渕聖司氏聞く「思想や背景 自社を考える道具に」
―米ゼネラル・エレクトリック(GE)に関する2冊目で、今回は40の用語を取り上げています。
「日本企業にいた私がGEに来た当初、独特の言葉や略語に戸惑った。その言葉には歴史的背景や意味があり、GEが長年、課題解決してきた知恵が込められていると分かった。40の用語を取り上げることでGEが何をやろうとしているのか、全体像が見えてくる」
「代表的な用語はほぼカバーできている。例えば、大企業になると意思決定が複雑になり、顧客からも距離が離れてしまう。その中で、“シンプリフィケーション”は大企業がベンチャー企業のように素早く動くといった考え方で、会社や業務の複雑なことを簡素化するのに役立っている」
―本からは変化とスピードを重視していることが伝わります。
「GEが優れた製品を作っても、5年後にはどんな新しい技術や方法で競合が出てくるか見えない世界になっている。顧客も速いスピードで変化しており、変化を先取りしないといけない。世の中が先に変わり、自分たちが遅れることに危機感がある。GEとして変化の試みの一つが、“インダストリアル・インターネット”だ。産業機器とビッグデータを結ぶネットワークを構築しようとしており、今後の製造業を変える」
―GEの新しい価値観、行動基準である“GEビリーフス”が15年に本格導入されました。
「顧客に選ばれる存在であり続ける、より早くシンプルに、どんな環境でも勝ちにこだわるなど5項目からなる。これが我々の行動基準で、評価となっている。社内で行うことが、この考えに合っているかどうかを常に考え、実践している。我々は実行まですることを重視しており、文化として浸透させることが大切だ」
―こうした用語は実際、どのように役立ちますか。
「我々は国際展開している。世界中で国籍も考え方も違う多様な人たちがGE社員として働くには、共通の概念や仕事のやり方があると効率が良い。用語には仕事のやり方や行動基準、採用基準、文化などいろいろなものが表現されており、どの国でも使われている。GE社員は世界のどこに行っても、同じように仕事ができる」
―本を通じて伝えたいことは。
「変化の先取りが全体に込めたメッセージだ。顧客ニーズに応えられる会社になるため、会社がこのように変わらなければいけないという目的がはっきりしていれば、変化は怖くない。ただ、GEが行っていることをそのまままねするのではなく、思想や背景を読み取ってほしい。それを自分の会社に置き換えたらどうなるか、考える道具にしてもらいたい」
―GEも金融事業の縮小を進め、変化しようとしています。
「14年にエネルギー会社の買収を決め、より製造業にシフトし、金融は本業部分に絞り込む。GEは“この事業をやる会社”とは言ったことがなく、世界の困難なことを解決する。同時に、世界的に最も優れた業績を残すため、我々が力を発揮できることに取り組む。自分たちが将来に向かって何をやるべきか、常に考えている」
(聞き手=湯原美登里)
安渕聖司(やすぶち・せいじ、日本GE代表取締役・GEキャピタル社長兼CEO)
1979年(昭54)早大政経卒、同年三菱商事入社。06年GEコマーシャル・ファイナンスに入社、07年GEコマーシャル・ファイナンス・ジャパン社長兼最高経営責任者(CEO)、09年日本GE代表取締役兼GEキャピタル社長兼CEO。兵庫県出身、60歳。>
※『世界の超一流企業であり続ける GEの口ぐせ』(PHP研究所)