日本企業、タイの人材採用で苦戦。給与水準の引き上げ迫られる

将来は財務や経営戦略部門で争奪戦

 日本企業がタイで優秀な人材の確保に苦慮している。人材紹介会社、ジェイエイシーリクルートメント(JAC)がまとめたタイの労働市場の動向によると、日系企業の給与水準は、欧米系企業より2割安く、現地では高給な欧米系企業や地場企業に人材を奪われているという。タイは東南アジアの中核拠点としての重要性が高まっており、将来は財務や経営戦略部門などで人材の”争奪戦“が起きる可能性もある。

 JACによると、英語が話せる製造業の営業職の給与は日系企業の場合、年収75万―90万バーツ(約255万―300万円)に対し、欧米系は90万―115万バーツ(約300万―390万円)。役職が上がるほど差は広がり、幹部職だと差は2倍以上になることもある。

 タイは失業率が1%を切り、労働力不足が深刻な売り手市場。就職先候補は多く、「職を求める人はまず給与で企業を選別する」(JACタイランドの山下勝弘社長)。最近では「日系企業イコール給与が安いという印象が定着している」(同)ため、就職先として初期段階から日系企業が外されることも多いという。

 タイ政府は15年から、グローバル企業のアジア統括拠点をタイに置く施策を奨励している。現在は金融が発達するシンガポールに置く企業が多いが、タイは工場が集積しており、今後、統括拠点を置く企業が増える可能性がある。

 その場合は、M&Aの戦略を担えるような財務、周辺国の人材を見据えたグローバル人事などの職が必要で、求人需要が一段と増える見通しだ。日系企業が優秀な人材を確保するためには、給与水準の引き上げなど、待遇面での改善が必要となる。

日刊工業新聞2015年11月24日3面
日刊工業新聞電子版

明 豊

明 豊
11月26日
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日系の中でもヒエラルキーがあって、一番上は完成車メーカーで人が足りなくなるとボーナスをどーんと上げる求人を出すと、現場作業者がごっそりそちらの会社へ移っていく。タイの人たちはいまだ頻繁に会社が変わることに抵抗感がない。各企業や工場は定着率がよくなく自社のノウハウを身につけてもらうのに腐心している。求心力をどう保っていくか、現地法人のトップは労務管理が重要な役割になっている。

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