オサム会長はなぜ耕し始めたのか。自動車メーカーが「農業」で生きる道

スズキ「工業も農業も効率よく心を込めて作る」。トヨタは得意の「カイゼン」

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関係者が見守る中、農場開園の植樹を行う(鈴木修スズキ会長=左、11月15日、静岡県磐田市)
 「工業も農業も効率よく心を込めて作るのは同じ。どう育つか、挑戦したい」(鈴木修スズキ会長)。スズキが農業分野に本格参入した。軽自動車生産で発揮してきた合理的なモノづくりのノウハウを農業にどう生かすか、注目される。

 拠点となるのは静岡県磐田市の2輪技術センター。津波対策で2年内に内陸部へ機能移転することが決まっており、その跡地活用として農業が浮上した。

 農業事業の企画、管理は、スズキ子会社など4社が共同出資する新会社「磐田シティファーム」が行う。農業ロボットの開発から実際に農作物を作っての研究、食育や市民農園など、総合的な農業のイノベーション拠点を目指す。

 敷地は約100万平方メートルと広大。建屋や空調など基本設備は残るため実験棟は植物工場、工場は農業ロボットの製作など、少ない投資で転用できる。「農業はこれまで過保護だった。車や2輪車のように、将来は農業でも輸出したい」(同)と夢を抱く。

 トヨタ自動車の代名詞の一つとなっている「カイゼン」。この自動車業界で長年磨き上げた生産管理手法や工程改善のノウハウを応用し、コメの効率的な生産や品質向上につなげるために開発したのが農業IT管理ツール「豊作計画」だ。2014年に愛知県と石川県の9法人限定で提供をはじめ、15年からは農業協同組合(JA)グループ愛知と連携して提供先を広げている。

 トヨタが目を付けたのは農業法人の大規模化。小規模農家や地主が農業法人に農作業を委託する事例が増えており、広範囲に分散する水田の管理が課題となっていた。豊作計画ではスマートフォンによる作業内容の配信、共有データベースでの進捗(しんちょく)集中管理、作業日報の自動作成などを通じて合理化が進む。

「ひとつ高い尺度で農業生産に貢献できる」(友山茂樹トヨタ専務役員)仕組み。今後は集めたビッグデータ(大量データ)の活用や対応作物の拡大が期待される。

日刊工業新聞2015年11月24日 深層断面より抜粋

COMMENT

明豊
執行役員 DX担当
デジタルメディア局長

ニュースイッチ・ファシリテーターの加藤百合子さん(エムスクエア・ラボ代表)がスズキのプロジェクトに参画しています。スズキは自動車メーカーでいち早くインド市長を開拓しました。オサム氏の先見の明は恐るべしです。トヨタが本気になると、ニッポンの農業は変わるかも。

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