キャラクター使用を企業に許諾、地銀の知財生かした新たな社会貢献

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大国段ボール工業が製造販売する、段ボール製ワンクグッズ。西日本シティ銀行のキャラクター「ワンク」を活用。知財の使用許諾料は全額寄付に回される

西日本シティ銀行は、自行の知的財産と国連の持続可能な開発目標(SDGs)を組み合わせ、寄付型ビジネスモデルを構築した。グッズメーカーに自行キャラクターを意匠として使うことを許諾し、得た許諾料を全額寄付に回す。銀行法で事業分野に制約のある中、企業に対するSDGs浸透を図るとともに、新たな社会貢献の形をつくり出す狙いだ。(西部・三苫能徳)

【地銀の使命】

西日本シティ銀は4月、「ワンクのSDGsプロジェクト」と名付けた寄付型販売スキームを始動した。同行は地銀の使命として、私募債や小学生向けカードゲームなどを通じたSDGs推進に力を入れる。今回は自行の知財権を積極的に活用することで、新たなSDGs活動に踏み切る。

一役買うのは、プロジェクト名にもある同行イメージキャラクター「ワンク」だ。「無表情に見えるが不思議に愛嬌(あいきょう)のある」(谷川浩道頭取)3頭の犬の人気キャラで、2006年に誕生した。現在は親会社・西日本フィナンシャルホールディングス(FH)のPRツールにも登場する。

同プロジェクトではワンクの使用をグループ外企業に開放し、その対価として使用許諾料を得る。近年、日銀のマイナス金利政策による金融機関の経営環境悪化を受け、地銀の収益源の創出が注目されている。だが今回の事業は銀行の収益に直接結びつくものではない。むしろ銀行法の定めの下、「もうけてはいけない」(同)事業だ。

大国段ボール工業が製造販売する、段ボール製ワンクグッズ。西日本シティ銀行のキャラクター「ワンク」を活用。知財の使用許諾料は全額寄付に回される。

【社会貢献生む】

同行は事業開始にあたり、金融当局と約1年間にわたり協議を重ねた。許諾料は収益として“懐”には入らず、全額を社会福祉団体に寄付する。キャラの知財をテコに、商品購入者や企業による社会貢献を生み出すことを狙う。

ワンクグッズの製品化を希望するメーカーは、まず同行に使用許諾を申請する。両者でキャラクターの再使用契約を結ぶことで、ワンクを意匠に使うグッズを製造販売できるようになる。

同行も製品をPRするが、販売者はあくまでも企業側。企業側が支払う使用許諾料(寄付額)は、販売した商品1点当たり200円または販売価格の5%のうち、いずれか低い金額となる。このほかワンクの著作権者に対しても利用料支払いが発生する。

第1弾として大国段ボール工業(福岡県行橋市)が、このスキームを活用した段ボール製オブジェを製造し、ウェブサイトで販売している。高さ11センチメートルのクロワンクとシロワンク、同8センチメートルのブチワンクの「家族セット」では、消費税を除いた商品代金2500円のうち、5%に相当する125円が寄付金に充てられる。

同行執行役員の小湊真美広報文化部長は、「しっかり当局と話して実現した事業。積極的にPRし、コラボレーションすることで社会貢献につなげたい」と意気込む。企業側からの申請を待つとともに、同行からも積極的に働きかけていくことでSDGsの輪を広げる。

日刊工業新聞2021年5月3日

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知的財産

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