ミャンマーの企業を「金融」通じて育てる

JICAが長期融資

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ミャンマーの金融機関は中小企業への融資経験に乏しいという
 国際協力機構(JICA)は年末にもミャンマーの政府系銀行を介し、現地の中小企業向けに最長5年の長期融資を始める。ミャンマーの銀行は中小企業への融資経験に乏しく、ほとんどが1年以内の短期融資となっている。事業立ち上げに時間がかかる製造業が育ちにくい一因とされており、JICAは円借款を通じてこうした課題解消に取り組む。

 6月末に調印した50億円の円借款事業「対ミャンマー中小企業金融強化事業」を具体化する。5000万円を上限に、2018年9月までに100社以上に融資する。

 JICAは同国財務省管下のミャンマー経済銀行と円借款のやりとりをし、同銀行が工業省系の中小企業振興銀行を通じて中小企業へ融資する。現地の市中金利が13%に対し、8・5%と低い金利を適応する。

 運用状況を見て、16年3月には振興銀行が担う業務を公募で民間銀行にも開放する。ミャンマーの銀行の中には邦銀と提携し、日本の融資ノウハウを学びつつある銀行もあり、「そうした銀行の積極的な応募を期待する」(JICA東南アジア第四課企画役の永井進介氏)という。

 東南アジアではミャンマーも加盟する東南アジア諸国連合(ASEAN)経済共同体が年末に発足し、関税撤廃などで経済統合が進む。ミャンマーは遅れてASEANに加盟した後発組のため、一部品目の関税撤廃は18年まで猶予されるが、あと3年で輸入品に対抗できるよう中小企業の基盤強化が待ったなしだ。

 現地では零細企業向けの小口融資(マイクロファイナンス)はあるものの、設備投資を伴う中堅・中小企業に長期で資金を供給する金融機関はほとんどない。JICAは事業を通じて、こうした中堅企業に資金を供給すると同時に、中小企業振興銀行が担う業務を民間に開放し、金融機関の中小向け融資の審査能力向上にも努めたい考えだ。

日刊工業新聞2015年11月24日3面

COMMENT

神崎明子
デジタルメディア局
編集委員

「ミャンマーの経済発展には中小企業の健全な成長が必要」というのが日本政府のスタンス。中小企業振興で協力する方針を掲げています。同国の行政官の研修を受け入れたり、中小企業金融のノウハウを提供するのはその一貫。今回のJICAの取り組みもこうした流れにある。

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