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「おもてなし」クオリティーを国際標準へ

経産省が規格認証の検討会立ち上げ。日本のサービス業の質を見える化
「おもてなし」クオリティーを国際標準へ

「おもてなし」の規格認証はサービス産業の生産性向上につながるか・・・

 経済産業省は18日、接客の良さやクレジットカード対応、清潔感などサービス品質の認証制度や標準化を取り入れるための「おもてなし規格認証(仮)に関する検討会」を立ち上げた。日本のサービス産業は品質は高いが、収益性は低いという課題を克服する狙い。多言語対応など訪日客に対する利便性を高める制度にもする。2016年2月にとりまとめを発表し、新たな認証制度として16年度内に試験運用に入る。

 経産省が検討会に提示した試案では、クレジットカード対応や外国語での説明員、ユニバーサルデザインなど評価しやすい項目だけでなく、施設の清潔感、詳細な商品説明ができるスタッフがいるか、接客について基準や研修制度があるかなどもサービス品質認証制度の対象とする考え。

 日本の小売りや飲食、宿泊、運輸、医療、介護などサービス産業は国際的にもサービスの質が高いとされ、政府は認証制度で質の高さを見える化できれば、収益に結びつけやすいと考えている。

 またサービス分野の標準化を策定する機運が世界的に高まっている。日本で早期に認証制度を作り、国際標準化をリードしたい考えだ。

年間訪日外国人、1900万人へ



 日本政府観光局(JNTO)が18日に発表した10月の訪日外国人数は、前年同月比43・8%増の182万9300人になった。10月としては、過去最高だった2014年(127万1705人)を上回り、単月でも7月(191万8356人)に次いで過去2番目の水準。1―10月の累計では前年同期比48・2%増の1631万6900人となり、田村明比古観光庁長官は「年間で1900万人台に達する見込み」と述べ、15年の1900万人突破を確実視した。

 10月は中国の国慶節が日本の紅葉シーズンと重なって訪日需要が高まり、大幅な増加につながった。国や地域別では、中国が同99・6%増の44万5600人で、2月から市場別で9カ月連続トップとなっている。中国は国慶節前後の訪日が拡大し、クルーズ船も46隻が寄港。航空便の増便もあり、拡大基調が続いた。10月までの累計では428万3700人となり、全市場で初めて400万人を超えた。

 2位の韓国は同48・6%増の37万800人、3位の台湾は同32・0%増の34万3600人、4位の香港は同66・9%増の12万9100人。2位の韓国と3位の台湾の順位が入れ替わったものの、上位4カ国・地域の顔ぶれに変動はなかった。

 そのほか、カナダとドイツが単月として過去最高を記録し、ロシアを除く17カ国・地域で10月として過去最高となった。台湾、インドネシア、カナダ、フランス、イタリア、スペインが10月までの累計で14年実績を上回り、今年の累計が14年実績を超えた市場は中国や韓国などを含め、11カ国・地域となった。

日刊工業新聞2015年11月19日2/4面
神崎明子
神崎明子 Kanzaki Akiko 東京支社 編集委員
訪日外国人の旺盛な消費意欲をどう取り込むかは、いわゆる観光地だけでなく地方経済にとっても大きな課題。日本政策金融公庫の調査では、観光客の増加が小規模事業者の売り上げ拡大に期待されるほどつながっていない現状も明らかになっています。日本ならではのサービスを収益にどう結びつけるかー。工夫の余地はありそうです。

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