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先進技術実証機「年内初飛行は厳しい」 防衛装備庁幹部

先進技術実証機「年内初飛行は厳しい」 防衛装備庁幹部

研究開発を進める先進技術実証機(防衛整備庁提供)

 防衛省は将来の戦闘機開発に生かすために研究開発を進めている「先進技術実証機」について、2016年1―3月をめどに初飛行させる方針だ。当初計画から約1年遅れとなる。初飛行の後は16年度末までの1年強で技術の有効性などを検証。18年度ごろをめどに政府が次世代戦闘機を開発するかどうか判断する。新型戦闘機の開発が決まれば、設計や製造に関わる国内防衛産業に追い風となる。

 防衛装備庁幹部は同実証機の初飛行について「年内は厳しい」ことを明らかにした。エンジンなどに改善点が残っているとみられる。同実証機に関する防衛省と三菱重工業の契約は今月末までだが、数カ月間延長する方向だ。

 防衛省は将来の戦闘機開発に向け、3次元CADを用いた「デジタルモックアップ」や先進技術実証機、エンジンシステムなどの研究を並行して進める。実証機は敵のレーダーに捕捉されにくいステルス性や高い運動性などを実証する機体で、三菱重工業小牧南工場(愛知県豊山町)で地上試験などを実施中。初飛行は当初15年3月末までの予定だったが、エンジン改修などのため延期していた。

 日米で共同開発し、11年に生産を終了した戦闘機「F2」は、主契約者の三菱重工をはじめ約1100社が携わったとされる。一方で政府が11年に導入を決めた次期戦闘機「F35」では、国内企業は最終組み立て工程やエンジン、電子機器の製造など一部しか手がけられず、防衛産業への恩恵は少ないとの見方がある。
日刊工業新聞2015年11月20日機械・航空機 面
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
すでに一部では噂が広まっていましたが、先進技術実証機(ATD-X)の初飛行が来年にずれ込むことが分かりました。

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