“鉄余り”直撃!関連素材メーカーの業績下振れ相次ぐ

粗鋼生産量の回復めど立たず。国際市況の低迷に引きずられる

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主な鉄鋼関連素材メーカーの決算
 世界的な粗鋼生産の低迷や市況悪化により、国内の鉄鋼関連素材メーカーでも業績の下振れが相次いでいる。国内の粗鋼生産量の減少に比例して、出荷量が振るわない上、販売単価も低迷する国際市況にひきずられているためだ。上場6社でも、4社が通期業績見通しを期初予想から下方修正した。

コークス価格がどんどん下がっている


 日本コークス工業は「中国からの輸出コークスの価格がどんどん下がっている。中国でも粗鋼生産が落ち、コークスが余ってきている」(清水昭彦常務)と嘆くように、中国の市況悪化に苦しむ。コークス原料となる原料炭の価格も下がっているが、それ以上に中国の輸出価格が下落。2012年初頭には1トン当たり130ドル以上開いていた両者の値差が、直近では同40ドル程度まで縮小。その分、コークスの利幅が大きく圧縮されている。

 原則、フル生産体制をとる日本コークス工業では、国内粗鋼の減産分をインドや東南アジア向け輸出でカバーする計画だが、中国品がその足を引っ張る。「昨年1月ごろからひどくなっており、今春以降も2段階にわたって市況がさらに下がった。早く収まってほしいが、今の状態はあと数年続くだろう」(同)とあきらめ顔だ。

 日鉄鉱業は通期業績予想の下方修正こそ見送ったが、鉄鋼大手が主要ユーザーである石灰石の販売量は「若干、下方修正しなければいけないだろう。粗鋼とセメントの生産量が回復しそうにない」(小山博司取締役)と述べるように事業環境は同じだ。原油安の恩恵を受け、15年4―9月期連結決算こそ経常増益を確保。鉄鋼向けも「相対的に当社が納めている製鉄所の稼働が良かった」(同)ことが幸いした。しかし、10月以降は「粗鋼生産量が回復すると見ていたが、そうはならない。(石灰石の販売量が)増えることはないだろう」と覚悟する。

最もダメージを受けた合金鉄


 国際市況低迷のダメージを最も受けたのが合金鉄。特にステンレス主原料のニッケルの価格低迷により、大平洋金属は16年3月期業績予想で8月まで29億円の黒字と見込んでいた経常損益を、54億円の赤字に修正した。

 「とにかくLME(ロンドン金属取引所)に尽きる」(菅井一之取締役常務執行役員)と肩を落とすように、LMEのニッケル価格は足元、1ポンド当たり4ドル台で低迷。同7ドル台まで回復すると見ていた思惑が外れた。「過去数年はLME在庫が多くても、高値安定していた。その背景には中国のステンレス増産があった。ステンレスは住宅が動くと市況も上がる。中国の住宅投資が落ち込んだことが大きい」(同)と、やはり中国経済失速の影響を指摘する。

逆に上方修正した企業


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日刊工業新聞2015年11月19日 素材面

COMMENT

村上毅
編集局ニュースセンター
デスク

国内の鋼材の在庫調整が遅れている中、今期の高炉各社の国内粗鋼生産見通しは前年割れの模様だ。鉄鋼関連素材の需要の先行きは総じて鈍そうだ。

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