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《加藤百合子の農業ロボット元年#04》農工マッチング、アイデア続出!

農業は工業は同じ製造業。技術で世界をリードできる
《加藤百合子の農業ロボット元年#04》農工マッチング、アイデア続出!

農工モノづくりの連携には未来がある(農業と工業のマッチングイベント)

 11月13日と14日、静岡県磐田市にて商工会主催にていわた産業振興フェアが開催された。本フェアに農業関係者も出展するようになり3回目、ここで農業と工業のマッチングイベントを開催した。工業者側17名、農業者2名と、アドバイザーとして中部大学の大日方五郎教授と静岡県農林技術研究所の山根俊上席研究員、そして、オブザーバーに行政やマスコミも加わった。

 お題は、除草。実は、9月に開催した農工連携のマッチングイベントのお題と同じ。前回も4チーム、今回も4チームで取り組み、合計8チームが除草について考えたことになる。結果、驚くことに、8チーム8様のロボットが出てきたのである。技術者の持つ知識や知恵の広さと深さに関心し、参加した農業者もアドバイザーも多様なアイデアに対しとても勉強になったという。

 次は「国際ロボット展」内で12月3日に開催する100人規模のワークショップ、「農業ロボット元年!農工連携で切り拓く新産業創出ワークショップ」。規模が大きいだけにどのようなアイデアが出てくるか期待も大きく、農業ロボットを考えることが農工両者のイノベーションにつながることを実感してもらえるものと確信している。

スズキの跡地をオープンイノベーションの拠点に


 また、15日にはスズキの2輪技術センター(現在、静岡県磐田市駒場)が今後順次引っ越すにあたり、その跡地を農業を軸にした地域のオープンイノベーション拠点として活用すべく、オープンセレモニーが行われた。

 農用地は11ヘクタールで、既に各種野菜や生育に時間のかかるオリーブやブルーベリー等を植樹してある。いずれ市民農園や食堂設備を活用した食イベントなどを企画することもできるし、周辺には輸送機器関連の部品製造会社の建屋が残るため、農業機械の改良改善や農業ロボットの開発などの拠点として活用する予定だ。

 マッチングイベントで体験した通り、技術者の能力は素晴らしく、農業という本業以外の課題に取り組むことで新たな商品や事業を創造できる。農業側も同様に、工業側の価値観に触れ、生産性向上につながることは間違いないと確信している。農工連携で、地方創生はさることながら、日本の農業と工業双方の技術が世界をリードするようになるものと期待をますます膨らませている。
日刊工業新聞2015年11月18日ロボット面
加藤百合子
加藤百合子 Kato Yuriko エムスクエア・ラボ 代表
農業は工業とともに製造業です。いよいよ工業系製造業が農業に乗り出し、知恵や知識の融合が起こり始めています。開け!日本の農業。これは私が起業当初につくったキャッチコピーです。まさに農業が開かれ、いろんなかけ算の元となり、農業もかけ算した他産業も面白くなること間違いありません。

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