【連載】挑戦する地方ベンチャー No.5 プリンシプル(後編)

九州の大手警備会社への意外な売り込み方とは?

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防犯住宅を表すステッカー
**アプリと連携した防犯
 「スマートルームセキュリティ」は、玄関扉やベランダの窓枠部分にマグネットセンサーを設置する。侵入者によってマグネットが外れると室内の親機に伝達、警告音が鳴る。その後WiーFi(ワイファイ)など住宅のネット環境を利用して本人の他、事前に登録した連絡先に異常事態をメールとアプリで知らせる。月額480円のオプションを追加すると警備会社に現場駆けつけを依頼できる(出動費は別料金で5000円)。また玄関や窓に「SMART ROOM SECURITYや提携警備会社のステッカーを掲示することで犯罪の抑止効果も生む。

 今まで設置にはインターネット環境があることが必須だった。そこで15年10月ネット環境のない住宅向けに、タブレット端末(携帯型情報端末)の親機にSIMカード(契約者情報記録カード)を搭載して、通信機能を持たせたプランを初期費用1万9800円、月額980円で販売した。元々ネット環境がある住宅に比べて、SIMカード利用料がかかる分価格は上がるが、それでも1000円でお釣りが来る。また以前はスマートフォンのアプリ内で操作した警備のオンオフを、外出時や帰宅時にアプリを起動するのが手間に感じるユーザーのために、小型リモコンを開発することで利便性を向上させた。

 原田氏は「在宅時の安全を強化したい人など、用途によってプランを変えられる」とアピール。販売では物件の防犯対策を入居希望者にアピールしたい不動産会社や仲介会社と連携。2カ月間の無償お試しを実施する。負担の少ない価格設定や安心感から、男女問わず継続するユーザーが多いという。

意外な売り込み方法


 連携する警備会社は九州が地盤の大手・にしけい(福岡市博多区)。しかし当初は同社と接点がなく、企画説明できる機会を持てなかった。そこで「にしけいのフェイスブックに『いいね』をしている人物と自分に、共通の友人がいないか探した」と明かす。偶然にもにしけいの関係者が中学時代の同級生が入っている山笠のメンバーにいた。最終的には原田氏が普段からお世話になっている先輩経営者を介して、にしけいの役員を紹介してもらうことで契約に結びついた。

 また性犯罪対策が重点課題の一つだった福岡県警や行政には丁寧にアドバイスをもらえるなど、原田氏の事業への共感が輪を広げた。

誰もが安心安全な暮らしへ


 従来の常識を覆し、なぜ月額500円の格安でホームセキュリティーサービスを受けられるのか。原田氏は「連携する警備会社の遊休資産を活用できていることが大きい」と明かす。実際には警備員が通報を受け現場に駆けつける機会は少ない。一方で警備会社は万が一に備えて、警備員を多く抱える。同社は自社の警備員を持たず、レンタル形式を採用しているため低コストでサービスを提供できる。

 原田氏は「誰でもホームセキュリティーを利用できる環境を作りたい」と目標を掲げる。今までは九州エリアを中心に販売していたが、今後は事業エリアの拡大を狙う。犯罪発生率が低い誰もが内でも外でも安心して暮らせる社会へ、原田氏の挑戦は始まったばかりだ。

ニュースイッチオリジナル

COMMENT

社会に求められるが事業単体では採算が取れないサービスは、行政や補助金で行うことが多かったが、昨今の起業家はアイデアで社会的課題を解決している。 多くの方が抱える社会的課題について、多くの方が共感し、協力したくなる。その典型的なビジネスモデルがまさに「スマートルームセキュリティ」である。 社長の明確なビジョンが形となり、周りの協力者を巻き込みながら事業が進捗している。 ITだけを活用したものではなく、警備会社と連携することでセキュリティサービスをとしての質を保っていることが有益なサービスのポイントとなる。

キーワード
原田 しけい

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