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スマホ効果で「ファインセラミックス」は絶好調!

今年の生産額は過去最大の見通し。スマホ依存からの脱却も課題に
スマホ効果で「ファインセラミックス」は絶好調!

各種ファインセラミックス製品(トリオセラミックス社)

 日本ファインセラミックス協会は2015年度のファインセラミックス国内生産総額が前年度比6・0%増の2兆4510億円となる見通しをまとめた。同11%伸びた14年度より成長速度は鈍化するものの、リーマン・ショック前の07年を超えて過去最大となる。高性能化が進むスマートフォン向けにセラミックコンデンサーなどの搭載点数が増えていることで市場が拡大。今後は”スマホ依存“からの脱却が業界に課せられた課題だ。

 分野別ではスマートフォンのほか車載用電子部品として需要が伸びている「電磁気・光学用」が同7・1%増の1兆6958億円、超硬工具などの「機械的」は同5・8%増の3033億円の見通し。半導体製造装置用部材などで構成する「熱・半導体関連」は同2・6%増の2385億円、「化学、生体・生物・他」は同1・3%増の2114億円となる。

 ただ、電磁気・光学用が全体の7割を占めることから用途の偏重ぶりが際立つ。かたや米国ではエンジン部品など航空機産業向けをはじめ多様な用途がある。日本では水処理や再生可能エネルギーなど新たな用途を育成する必要がありそうだ。

米国先進セラ協会と提携。軍事・航空機向け用途開拓


日刊工業新聞2015年5月25日付


 日本ファインセラミックス協会は、米国先進セラミックス協会と提携する。ファインセラミックスに関する市場予測や国家プロジェクト、人材育成などの情報共有で連携する。本格的な海外提携は両協会とも初めて。25日に開く理事会で承認される見通しだ。両国で同素材の世界の市場シェアの約7割を占める。今回の提携で日本の産業界にとり、米国が先行する軍事や航空機向けの用途開拓が進む可能性がある。

 提携では、セラミックス分野の開発プロジェクトに関する政府予算などについて情報交換する。将来は両国で素材開発や加工法の開発などでの連携に発展させることも視野に入れている。また、役員が定期的に相互訪問するほか、来年春には米協会のステヤー・トッド会長を日本の関連展示会に招くことも検討している。

 米協会はワシントンに本部を構え、セラミックス繊維を使った複合材料、原子力分野向けセラミックス、透明セラミックスの三つの作業部会がある。固体酸化物形燃料電池(SOFC)用途の特別部会も設けている。また軍需や航空産業が発展している米国では、大型の構造部材向けにも強みを持つなど用途に富んでいる。

 一方、日本協会は素材や電子部品、自動車、重工など正会員36社、賛助会員28社で構成。日本は村田製作所などが手がけるスマートフォンや車載向けの軽薄短小型の電子部品を得意とする。

 同協会によると同素材の世界市場は2012年時点で5兆円。20年には8兆円に伸びる見通し。
日刊工業新聞2015年11月17日 素材面
村上毅
村上毅 Murakami Tsuyoshi 編集局ニュースセンター デスク
以前、「主張」の記事で登場いただいた日本ファインセラミックス協会の矢野友三郎専務理事によれば、ファインセラミックス市場で日本と並ぶ米国では防衛や航空、医療分野を含めて用途のバランスが取れているのに対し、日本市場はスマホや自動車の電子部品向けなどの用途に偏重している。好調な時ほど、次への展開を考える好機だ。

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