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日本で唯一の自転車に特化した博物館、なぜ堺市にある?

日本で唯一の自転車に特化した博物館、なぜ堺市にある?

クラシック自転車をはじめ多彩な自転車がずらりと並ぶ展示は圧巻

自転車博物館は日本で唯一の自転車に特化した博物館。自転車部品メーカーのシマノが設立した公益財団法人シマノ・サイクル開発センターが運営する。同社の2代目社長を務めた島野尚三氏が、個人的に収集したクラシック自転車を生かし地域に貢献したいと堺市に相談したところ、市が大仙公園に隣接する市有地を提供。同社が建物と展示物を寄付し、1992年4月に開館した。

クラシック自転車から最新の車種まで欧州を中心に世界各地から約400台を集め、このうち常設展や特別展で約70台を展示する。約200年前からの自転車の歴史を五つの段階に分けて学べる。ほかに自転車の仕組みを体験しながら理解できる展示などがあり、展示しきれない自転車の大半を格納した「見える収蔵庫」も見学できる。

堺は「日本の自転車産業発祥の地」として知られる。刃物、鉄砲づくりで培った技術を生かして明治時代に輸入された自転車の補修部品を手がけ、高い技術を持つ自転車や部品を生産する地場産業に発展した。そんな歴史に「堺のあゆみ」コーナーで触れられる。

地域貢献のための催しも活発だ。人と自転車の生活風景などテーマを選んで描く「夏休みこども絵画コンクール」は例年、約4万作品の応募がある。子ども向けでは「こんな自転車欲しかってん!コンテスト」、大仙公園の自転車ひろばで行う「クラシック自転車(レプリカ)の体験試乗」も人気。「ロードバイクセミナー」など大人向けのイベントもある。年間約3万人の入館者のうち約55%は小学生。校外学習で訪れることが多い。

世界初の自転車とされる「ドライジーネ」のレプリカも展示している

同館は2022年3月、南海高野線・堺東駅から徒歩圏内に移転する予定。展示面積は現在の約2倍になり、自転車の展示台数を増やすとともに、部品の展示や技術的な解説も拡充する計画だ。長谷部雅幸事務局長は「自転車は歴史、旅、レースなどいろいろな楽しみ方がある。これらすべてを含めた自転車文化の発信基地になりたい」と話している。

【メモ】
▽開館時間=10―16時半(入館は16時まで)▽休館日=月曜日(祝日と振替休日は開館)、祝祭日と振替休日の翌日、年末年始▽入館料=一般200円、65歳以上と中高大生100円▽最寄り駅=JR阪和線「百舌鳥(もず)駅」▽住所=堺市堺区大仙中町18の2▽電話番号=072・243・3196

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