【革新!温暖化対策#01】"夢の技術"人工光合成の開発進む

2020年代に水とCO2で化学原料を製造

 「夢の技術」と思われてきた人工光合成の開発が日本主導で進んでいる。実用化できれば太陽光エネルギーを使い、温暖化を原因とされる厄介者の二酸化炭素(CO2)を資源に変えられる。まさに"究極のエコプラント"だ。日本発で、世界に新たな温暖化対策技術を提供できる可能性がある。

 水に浸った金属からプクプクと泡がわき上がっているようにみえる。気泡の正体は人工光合成で生成された水素と酸素、金属は光触媒だ。

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と人工光合成化学プロセス技術研究組合は3月末、人工光合成による水素製造で世界最高水準となるエネルギー変換効率2%を達成したと発表した。

 変換効率は光エネルギーを他のエネルギーに変える時、光をどれだけ有効利用できたかを示す指標。20%を超える太陽電池と比べると低いと感じるが、0・2-0・3%の植物の光合成を大きく上回る。

 植物の光合成は太陽光エネルギーを使って水とCO2から酸素と炭水化物(でんぷんなど)を合成する。NEDOなどが研究する人工光合成は太陽光の働きで水から水素を生成、その水素とCO2を合成させて化学原料となるオレフィンを作る。実用化すると太陽光、水、CO2があれば化石資源を使わずに化学製品を製造できるようになる。

 研究開発プロジェクトは2012年に経済産業省の事業としてスタートし、14年からNEDOの事業となった。人工光合成化学プロセス技術研究組合には国際石油開発帝石、住友化学、TOTO、富士フイルム、三井化学、三菱化学、ファインセラミックスセンターが参画する。

日刊工業新聞2015年11月12日「創刊100周年特別号」より

  • 1
  • 2
松木 喬

松木 喬
11月15日
この記事のファシリテーター

歴史的な合意がされるであろう、COP21の開催が迫ってきました。世界の数千員の科学者が気候変動の進行を検討した「IPCC」第五次報告書は温暖化の深刻な被害を回避するには「今世紀末には温室効果ガスの排出をゼロか、それ以下にする必要がある」と警鐘を鳴らしました。また「30年までに追加の温暖化対策が遅れると、深刻な被害の回避は難しい」とも予測しています(2度目標達成が困難)。CO2を回収して化学原材料にする人工光合成は「排出をゼロか、それ以下にする」技術。しかも「追加の温暖化対策」です。21年度と言わず、はやく開発にめどをつけて実用化してほしいです。

この記事にコメントする

  

ファシリテーター紹介

記者・ファシリテーターへのメッセージ

この記事に関するご意見、ご感想
情報などをお寄せください。