<矢島里佳の新聞clip11.14号>頼れるコンシェルジュ社員の育成を
店頭スタッフを派遣店員ではなく自社の社員に
1週間の日刊工業新聞の記事の中から、気になった記事をセレクト。新聞ならではのセレンディピティー(何かを発見する能力、偶然をきっかけにしたひらめき)の楽しさを伝えて頂きます。
みなさん、こんにちは。矢島里佳です。
ウェブニュースは1つずつ興味のあるニュースを読める閲覧性の高さは魅力的です。
けれども、偶然に出会う記事たちが、自分の興味や人生に強く影響をあたえる面白さは、紙新聞ならでは。デジタルの時代だからこそ、アナログの面白さにも気がつく。双方の魅力を和えながらニュースと向き合っていければと思います。
今週、選んだのはこの2本です。
●NPOの活躍、金融が後押し(信用保証適用で活発化=11月11日付)
●ノジマ、数年内に売上高総利益率をアップ(業界トップ級29%へ=11月12日付)
NPOの活躍を金融が後押しについて。様々な社会課題であふれる日本。いろんなセクターが活躍し、それぞれの切り口でアプローチすることが重要です。そんな中、ついに信用保証制度がNPOにも適応され、少しずつ働き方の幅が広がる予感。
介護、福祉、保育、まちづくりなどの分野で、行政やNPO法人による取り組みが活発化してきた。10月1日からNPO法人にも信用保証制度が使えるようになり、社会問題を扱う事業体に対しても、雇用拡大や経済への貢献が期待されるようになってきた。金融機関も資金面の後押しに乗り出している。
東京信用保証協会は10月19日付で、青少年の就労支援を行うNPO法人への保証を承諾した。内容は保証金額1000万円で、融資期間は36カ月。融資は10月29日付で多摩信用金庫が実行した。これまで日本政策金融公庫がNPO法人への融資機関の受け皿になっていた。
自治体と金融機関が連携し、NPO法人などの共助活動を支援する動きも活発化している。埼玉県は2014年7月に全国に先駆け、県内金融機関と共助社会づくりのための協力に関する協定を結んだ。県内に2038団体あるNPO法人が資金面でビジネスをしやすくする環境を後押しする。
埼玉りそな銀行はNPO法人向け運転資金として累計で4件の融資を実行済み。NPO法人への与信判断の際、制度上も充実してきたことから10月以降は貸し出しが増える可能性が出てきた。一方、武蔵野銀行が埼玉県との協定締結に先駆けて展開する「むさしのNPOサポートローン」は順調な伸びを示す。15年度上半期だけで8件、合計2900万円の融資を実行した。
融資先の業種は介護支援や障害者自立支援が多い。「託児所の土地探しや設備増強の相談も受けるようになり、複合的な提案をするようになった」と武蔵野銀行総合企画部。例えば、新規事業に乗り出すNPO法人に対しては埼玉県の支援施策「共助仕掛人」と連携し、コンサルティングを行うなど支援の幅を広げている。
専門機関同士が連携して支援する動きも活発化している。9月に発足した新宿ソーシャルビジネス支援ネットワーク(事務局=新宿NPOネットワーク協議会、東京都新宿区、山下馨代表理事)は、通所介護業のデイファーストオアシス(新宿区)を第1号支援企業に選定した。同社は12月に開業し、9カ月後をめどに黒字経営を目指す。
社会が抱える課題に取り組む企業やNPO法人を総合的に支援し、課題解決とビジネス拡大を両立させようとする動きが本格化しそうだ。
(文=大塚久美)
家電量販店のノジマは携帯販売会社のITXを除く連結の売上高総利益率を現行の約25%から2、3年内に家電量販店トップレベルの29%に引き上げる方針だ。野島廣司社長が明らかにした。家電メーカーなどのリベートの付与体系が量的リベートから、付加価値型製品などに対し手厚く支給する方向に転換していることを受け、ほとんどを自社社員によるコンサルティングセールスを展開する同社に追い風になるとみている。
ノジマの売上高総利益率は2015年3月期第2四半期あたりまで21−22%程度で推移していたが、16年3月期の第2四半期は25%程度にまで急上昇した。野島社長は「安い商品を買っていた顧客がニーズに合わず失敗、商品を見極めて買う顧客が来店している」と、店頭で自前の社員により顧客ニーズにきめ細かく対応していることが効果を生み始めたとみている。
同社は家電量販店では一般的なメーカーや携帯電話会社が派遣する販売支援の派遣店員(ヘルパー)をほとんど受け入れていない。自前の社員などを教育し、店頭ではコンサルティング販売を徹底している。
自前の正社員は毎年300―400人を採用しており16年度の新卒採用内定者数も510人だ。新卒採用を絞る家電量販店が多いなかで積極的な採用を展開している。
いわば商品知識を持った自前の社員が、顧客からニーズを引き出すことで高付加価値製品の成約につながり、それが総利益率の急ピッチな上昇につながっているという。「メーカーや携帯電話キャリアなどがリベート体系を見直している」(野島社長)ことも追い風だ。
あるシンクタンクの幹部は「メーカーは従来の数量リベートを縮小し、指定する付加価値型の製品へのリベートを厚くしている。シェアを追いかけず、収益をきちんと確保できるような販売方法に切り替えているところが増えている」と話す。
ヘルパーを受け入れていないノジマは自由な立場で商品の説明ができ、数量獲得競争に拘束されない販売が展開できるというわけだ。接客の質向上は増加する高齢者顧客にも有効だ。
泥沼の安売り競争で疲弊してきた家電の製販が、価格競争から質への転換は浸透するのか。ノジマの戦略が注目される。
みなさん、こんにちは。矢島里佳です。
ウェブニュースは1つずつ興味のあるニュースを読める閲覧性の高さは魅力的です。
けれども、偶然に出会う記事たちが、自分の興味や人生に強く影響をあたえる面白さは、紙新聞ならでは。デジタルの時代だからこそ、アナログの面白さにも気がつく。双方の魅力を和えながらニュースと向き合っていければと思います。
今週、選んだのはこの2本です。
●NPOの活躍、金融が後押し(信用保証適用で活発化=11月11日付)
●ノジマ、数年内に売上高総利益率をアップ(業界トップ級29%へ=11月12日付)
NPOの活躍を金融が後押しについて。様々な社会課題であふれる日本。いろんなセクターが活躍し、それぞれの切り口でアプローチすることが重要です。そんな中、ついに信用保証制度がNPOにも適応され、少しずつ働き方の幅が広がる予感。
東京信用保証協会、青少年の就労支援を行うNPO法人への保証を承諾
介護、福祉、保育、まちづくりなどの分野で、行政やNPO法人による取り組みが活発化してきた。10月1日からNPO法人にも信用保証制度が使えるようになり、社会問題を扱う事業体に対しても、雇用拡大や経済への貢献が期待されるようになってきた。金融機関も資金面の後押しに乗り出している。
東京信用保証協会は10月19日付で、青少年の就労支援を行うNPO法人への保証を承諾した。内容は保証金額1000万円で、融資期間は36カ月。融資は10月29日付で多摩信用金庫が実行した。これまで日本政策金融公庫がNPO法人への融資機関の受け皿になっていた。
自治体と金融機関が連携し、NPO法人などの共助活動を支援する動きも活発化している。埼玉県は2014年7月に全国に先駆け、県内金融機関と共助社会づくりのための協力に関する協定を結んだ。県内に2038団体あるNPO法人が資金面でビジネスをしやすくする環境を後押しする。
埼玉りそな銀行はNPO法人向け運転資金として累計で4件の融資を実行済み。NPO法人への与信判断の際、制度上も充実してきたことから10月以降は貸し出しが増える可能性が出てきた。一方、武蔵野銀行が埼玉県との協定締結に先駆けて展開する「むさしのNPOサポートローン」は順調な伸びを示す。15年度上半期だけで8件、合計2900万円の融資を実行した。
融資先の業種は介護支援や障害者自立支援が多い。「託児所の土地探しや設備増強の相談も受けるようになり、複合的な提案をするようになった」と武蔵野銀行総合企画部。例えば、新規事業に乗り出すNPO法人に対しては埼玉県の支援施策「共助仕掛人」と連携し、コンサルティングを行うなど支援の幅を広げている。
専門機関同士が連携して支援する動きも活発化している。9月に発足した新宿ソーシャルビジネス支援ネットワーク(事務局=新宿NPOネットワーク協議会、東京都新宿区、山下馨代表理事)は、通所介護業のデイファーストオアシス(新宿区)を第1号支援企業に選定した。同社は12月に開業し、9カ月後をめどに黒字経営を目指す。
社会が抱える課題に取り組む企業やNPO法人を総合的に支援し、課題解決とビジネス拡大を両立させようとする動きが本格化しそうだ。
(文=大塚久美)
家電量販店のリベート慣習に変化
家電量販店のノジマは携帯販売会社のITXを除く連結の売上高総利益率を現行の約25%から2、3年内に家電量販店トップレベルの29%に引き上げる方針だ。野島廣司社長が明らかにした。家電メーカーなどのリベートの付与体系が量的リベートから、付加価値型製品などに対し手厚く支給する方向に転換していることを受け、ほとんどを自社社員によるコンサルティングセールスを展開する同社に追い風になるとみている。
ノジマの売上高総利益率は2015年3月期第2四半期あたりまで21−22%程度で推移していたが、16年3月期の第2四半期は25%程度にまで急上昇した。野島社長は「安い商品を買っていた顧客がニーズに合わず失敗、商品を見極めて買う顧客が来店している」と、店頭で自前の社員により顧客ニーズにきめ細かく対応していることが効果を生み始めたとみている。
同社は家電量販店では一般的なメーカーや携帯電話会社が派遣する販売支援の派遣店員(ヘルパー)をほとんど受け入れていない。自前の社員などを教育し、店頭ではコンサルティング販売を徹底している。
自前の正社員は毎年300―400人を採用しており16年度の新卒採用内定者数も510人だ。新卒採用を絞る家電量販店が多いなかで積極的な採用を展開している。
いわば商品知識を持った自前の社員が、顧客からニーズを引き出すことで高付加価値製品の成約につながり、それが総利益率の急ピッチな上昇につながっているという。「メーカーや携帯電話キャリアなどがリベート体系を見直している」(野島社長)ことも追い風だ。
あるシンクタンクの幹部は「メーカーは従来の数量リベートを縮小し、指定する付加価値型の製品へのリベートを厚くしている。シェアを追いかけず、収益をきちんと確保できるような販売方法に切り替えているところが増えている」と話す。
ヘルパーを受け入れていないノジマは自由な立場で商品の説明ができ、数量獲得競争に拘束されない販売が展開できるというわけだ。接客の質向上は増加する高齢者顧客にも有効だ。
泥沼の安売り競争で疲弊してきた家電の製販が、価格競争から質への転換は浸透するのか。ノジマの戦略が注目される。