日本触媒がベルギーで紙おむつ原料供給。P&Gの事業拡大見据える

競争力のある日系3社を海外勢が追い上げ。中国企業が波乱要因か

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 【アントワープ(ベルギー)=堀田創平】日本触媒は10日(現地時間)、ベルギー子会社の日本触媒ヨーロッパ(NSE、アントワープ州)で紙おむつ向け原料を供給する新工場の起工式(写真)を開いた。2018年5月をめどに高吸水性樹脂(SAP)とその主原料となるアクリル酸を生産し、拡大する紙おむつ需要に応える。投資額は3億5000万ユーロ(約470億円)で最大規模。日本触媒の池田全徳社長は式典で「フランダース州政府をはじめ、皆さまのおかげでこの日を迎えることができた。心から感謝する」と述べた。

 新工場の稼働でSAPの生産能力は年産6万トンから約2・7倍の同16万トンになる。従来は姫路製造所(兵庫県姫路市)から輸出していた10万トン分を現地生産に切り替え、姫路にできる余剰能力を「東南アジア向け生産に振り向ける」(池田社長)考え。一方、アクリル酸の生産能力は年産10万トンを計画。原料から樹脂まで一貫生産体制を整える。

 NSEは「顧客が広がる傾向にある」(八谷秀孝NSE社長)とみて、大手消費財メーカーのほか現地メーカーにも供給する。また池田社長はSAPのシェア拡大を視野に「3年ごとに10万トン規模の増強が必要になる」と示唆。「建設費が安い国内拠点を増強して余剰能力を持たせ、老朽化した姫路を改修したい」と述べた。

ファシリテーター・峯岸研一氏の見方


 SAP(高級吸水性樹脂)で世界トップの生産能力を有する日本触媒グループが欧州で大幅な増能力に踏み切りました。今回の新プラントが稼働すれば、同社グループの生産能力は年産72万トンになります。SAPは、日本触媒グループを中心に三洋化成グループ、住友精化グループの日系三社が国内は元よりグローバルに事業を展開、質量ともに世界をリードしています。しかも、日本触媒グループ以外の二社も増能力に積極的です。
(続きはコメント欄)

日刊工業新聞2015年11月12日 素材面

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峯岸研一
フリーランス

 生産拡大は海外メーカーも負けていません。BASFグループやエポニックインダストリーズ、さらに中国、韓国、台湾メーカーも続いています。とくに、中国は新規参入が相次ぐなど量的拡大が止まらず、中国が生産能力で日系三社を超えたと言われるほどです。背景には、先進国における高齢化による大人用オムツ、中進国は生活レベルの向上による乳幼児向けオムツの需要増があります。また、紙オムツの高品質化と薄地化が進むのと比例してSAPの使用比率が高まっています。  その中で日本触媒グループは、最大供給先であるP&Gグループの事業展開を見据え、品質優位性を維持するとともに、強みであるアクリル酸ーSAPに至る原料一貫生産体制をベースに、次の能力増強を視野に入れています。

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