工場の設備をつないじゃえ!デンソーが世界の全拠点にIoT基盤

カギは社外ともつなぐのかどうか

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n分の1鍛造機で競争力のある工場づくりを進めている
 デンソーは29日、2018年をめどに世界の全工場を対象としたIoT(モノのインターネット)活用の生産基盤を構築すると発表した。現場の知恵や工夫をリアルタイムで共有し、技術革新の速度を飛躍的に向上する。

 有馬浩二社長が同日開いた記者向け説明会で表明した。世界各地にある自社の130の工場、2500の生産ライン、15万の生産設備をインターネットでつなぐ。「世界中の工場が一つ屋根の下であるかのように情報を共有、活用」(有馬社長)できる仕組みをつくる。

 デンソーは現在、各工場で2倍以上の生産効率化を図る「ダントツ工場」づくりに取り組んでいる。IoTの活用によって「ダントツ工場をより進化させたい」(同)としている。

先行するボッシュにらみ次世代モノづくり試行


日刊工業新聞2015年6月24日付 


 デンソーは2017年をめどにモノのインターネット(IoT)を取り入れた次世代のモノづくりを始める。生産設備のさまざまな情報をインターネット経由でリアルタイムで収集して解析し、不良予防や生産性向上につなげる。IoTをめぐってはドイツが国家戦略として「インダストリー4・0(I4・0)」を提唱。デンソーの競合である独ボッシュも中心となって推進している。今後、日本のメーカーでもIoTを取り入れる動きが本格化しそうだ。

 IoT導入は16年3月期―18年3月期までの新中期方針の重点施策として取り組む。今後2年間で導入可能な生産ラインや製品を見極め、試行する。例えば工作機械による部品の加工状況やラインに設置したセンサーからの情報データをリアルタイムで集め数値のトレンドなどを解析、その結果を元に不良を予知して問題が起きる前に防ぐ。さらに問題が起きても迅速に対応できるようにする。17年には全面展開のフェーズに入る計画。

 IoT導入に向け7月1日付で生産革新センターに「DP(デンソープロジェクト)―ファクトリーIoT革新室」を設置する。有馬浩二社長はI4・0について「いいところも悪いところもある」とした上で「IoTでデンソーのモノづくりを進化させたい」と説明している。

 デンソーは12年から極めて高い競争力を持つ工場という意味の「ダントツ工場」づくりを推進。その一環として大きさや段取り時間などを半分以下にした生産設備「n分の1加工機」の開発などを進めている。今後はn分の1加工機の海外拠点への展開、既存ラインの改造にIoTを加えた取り組みを推進。欧州勢に負けない競争力を持った工場づくりを実現する。

日刊工業新聞2015年10月30日付4面

COMMENT

清水信彦
福山支局
支局長

 6月にこのニュースイッチでも取り上げましたが、デンソーが製造現場でのIoT活用に本格的に動き出します。生産部門出身の有馬浩二社長が、東京モーターショーでのブースプレゼンで明らかにしたもののようです。  具体的な内容はまだよくわかりませんが、とりあえずは社内にある大量の工場設備類をネットワークにつないじゃえ、そして運営管理を効率化、高度化してしまえ、という発想のようであります。  カギは、社外ともつなぐのかどうか。納入先の自動車メーカーや、調達元の部品メーカーともつなぐのか。それをやれるかどうかが、ドイツのインダストリー4.0との違いになってくると思います。

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