「地域を変えられるのは若者、ばか者、よそ者」風力発電で故郷・秋田を活性化

北都銀行・町田睿会長インタビュー

北都銀行会長・町田睿氏
 秋田県を風力発電で活性させようと地元・北都銀行会長の町田睿氏が奔走している。地元企業の経営者を招いて風力発電会社を設立し、多くの企業にも呼びかけ約100社が参加する「秋田風力発電コンソーシアム」を立ち上げた。目標は1000基の建設。「残りの人生は秋田再生にささげる。秋田消滅なんてとんでもない」と語る77歳の町田会長に展望を聞いた。

 -地元経済に危機感を抱いたことがきかっけと聞きました。
 「私は富士銀行から山形県の荘内銀行に移り、次に秋田県の北都銀行にやってきた。北都銀は県内しか市場がなく、どんどん閉店していた。秋田県は最も早い水準で人口減少が進んでおり、かなりの自治体に消滅の可能性がある。なのに地元に危機感がない。なんとかしたいと思った」
 
 -なぜ、風力だったのですか。
 「秋田は(平均風速などの)風況がよく、風力発電は稼働するとすぐに投資回収ができる。今も100基が稼働するが、県外企業の発電所が多い。せっかく風という地域資源がある。地元に利益をもらたす”秋田の風力”にしたい」
 
 -産業の裾野の広さが魅力ですか。
 「風力発電1基に自動車と同じ2万点の部品が使われており、多くの地元企業が携われる。大きい構造物なので組み立て、運転・保守も地元が参加できて産業基盤にできる。東北全体にも広げたい。風力で水素を製造し、輸送することまでやりたい」
 
 -主力拠点が秋田にあるTDKが風力発電大手の仏アルストムから磁石を受注するなど早速、効果が出ています。
 「アルストムにTDKの磁石を使ってほしいと頼んだことがある。TDKは県内拠点の再強化を始めており、上釜(健宏)社長と会談した時も『マザー工場は日本に置いておかないとだめだ』と力強く語っていた。この流れに風力もマッチしており、地域に良い効果が出そうだ」
  
 -課題は。
 「みんなが力を合わせることが大事だ。経営者としての経験で言えば、従業員にビジョンをアピールしないと駄目だ。風力発電会社として設立したウェンティ・ジャパンの佐藤裕之社長はすばらしい若きリーダーであり、期待している」
 
 <記者の目>
 「地域を変えられるのは若者、ばか者、よそ者」と町田会長は言う。帰郷した町田社長が「よそ者」の目で見た故郷は豊かさに慣れた「ゆでガエル」だった。日本風力発電協会は現状比倍の3620万キロワットの風力発電が導入されると3兆円の経済波及を生むと試算する。「秋田の風力」で故郷を活性化してほしい。
(聞き手=松木喬)

日刊工業新聞2015年11月12日4面

COMMENT

松木喬
編集局第二産業部
編集委員

再生可能エネルギーで地域興しをしようする自治体が各地にあります。市町村レベルではなく、県レベルで取り組む例は少ないと思われます。しかも地銀トップが故郷再生の思いから地元企業に声をかけて始まったところが秋田のユニークさと感じます。環境アセスをクリアしないといけないのでどうしても風力は太陽光に比べて時間がかかります。ただ、太陽光の次は風力の普及が始まることは間違いないはずです。各地に出現したメガソーラーは中央の企業の資本で作られた発電所が少なくありません。風力では地元の企業に多く携わってほしいです。

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