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鉄鋼各社の海外拠点が相次ぎ稼働。自動車需要の減速は大丈夫か

当初計画修正も自動車部品向け素材の需要は根強い
鉄鋼各社の海外拠点が相次ぎ稼働。自動車需要の減速は大丈夫か

本格生産に移行したインドネシア線材加工工場の伸線ライン

**日鉄住金物産はインドネシアで線材加工
 日鉄住金物産はインドネシアの線材加工工場で本格生産を始めた。主に自動車部品の軸受に使う鋼線を製造し、日系の鋼球メーカーに供給する。日鉄住金物産にとって海外での線材加工は初めて。自動車の生産台数が想定よりやや低迷してきたこともあり、計画よりやや遅れているが、まずは年内に鋼球ベースで月産300トン体制を目指す。

 日鉄住金物産は100%子会社のインドジャパン・ワイヤ・プロダクツ(西ジャワ州カラワン)を2013年10月に設立した。東南アジアで最も自動車産業が集積するタイに近く、将来的には自国マーケットの成長も見込めるとして、インドネシアへの進出を決めた。

 14年2月に工場を着工し、15年5月に操業を開始、サンプル出荷を始めた。その後、供給先メーカーの承認を取得し、このほど本格生産へ移行した。筆頭株主である新日鉄住金の技術支援を受け、母材も同社から供給を受ける。年産能力は8000トン。自動車市場の成長ペースにもよるが、まずは現行の中期経営計画の最終年度である17年度までにフル操業を目指す意向だ。

 現在は「需要サイドの問題で計画より若干、後ろ倒しになっている。足元では月産100トン程度のイメージ」(野村有一取締役常務執行役員)と言うように、中国の失速などに伴う世界的な需要低迷の影響を受けている。ただ、「今の生産が継続すれば、採算面では問題ない」(同)としており、今後も品質確保を重視した工場運営を強化していく。

神鋼は中国の線材拠点を4割増産


 神戸製鋼所は10日、中国の線材二次加工拠点の生産能力を引き上げると発表した。浙江省平湖市で主に自動車部品用の素材を製造する神鋼特殊鋼線(平湖)に酸洗設備を1基増設する。投資額は約13億円で、2016年12月に稼働する。これにより、月産能力は約3500トンから40%増の約4900トンになる。

 具体的には、自動車用ボルト・ナットや軸受製品に使われる冷間圧造用ワイヤを増産する。主に周辺の日系自動車部品メーカーに供給する。ここに来て、中国の自動車市場はやや減速しているが、生産台数は安定して増えており、平湖の工場としては3回目の能力増強を決めた。

 同工場は09年の操業開始後、伸線機(現在は8基)と熱処理炉(同6基)の増設を順次、行ってきており、酸洗設備はこれで2基になる。母材の特殊鋼線材は日本からすべて供給する。
日刊工業新聞2015年11月11日 素材面
村上毅
村上毅 Murakami Tsuyoshi 編集局ニュースセンター デスク
中国やインドネシアなどは、鉄鋼各社がここ数年加工拠点の立ち上げに動いてきた地域だ。最近の景気減速で、当初の計画は修正を余儀なくされているようだが、自動車部品向けの素材は需要は根強い。素材を供給できるメーカーも限られており、現地拠点の製造実力を高めることがカギとなりそうだ。

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