就職率にも響く、データサイエンス教育に盛況の兆し

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大学におけるデータサイエンス(DS)教育が年度替わりを挟んで盛り上がりそうだ。文部科学省はリテラシー(読解記述力)レベルの認定制度での公募に向け、説明会を17日にウェブで開く。先に国立大学で進んだが、4月からは中央大学や早稲田大学が全学生向けの教育プログラムを開始。産業界のDS人材のニーズ急伸で、就職率にも響くと気づいた大学から、新たな動きが始まっている。(編集委員・山本佳世子)

【ブランド高める】

学部生の1学年全50万人が数理・DS・人工知能(AI)の「リテラシーレベル」を、半分の25万人が3、4年生の専門とDSを組み合わせた「応用基礎レベル」を学ぶ―。内閣府は「AI戦略2019」で25年の目標をこう掲げている。後押しは、しっかり手がける大学にお墨付きを出す文科省の認定制度と、各大学の教育プログラム整備の参考として「数理・DS教育強化拠点コンソーシアム」が整備・公開するモデルカリキュラムだ。

文科省はリテラシーレベルの制度設計を手がけ、24日に実施要綱を公表し前後に説明会を開く。認定教育プログラム「MDASH(エムダッシュ)―リテラシー」は正規課程、全学生が受講可能な全学開講などに加え、すでに実績があることがハードルだ。さらにこの中から優良案件を選定する「MDASH―リテラシープラス」は、「全学生の半数以上の履修が3年以内に達成の見込み」とされる。そのため7月ごろの初回認定や、選定の数は限られそうだ。

同制度には予算支援がないにもかかわらず、大学関係者の注目が高い。「建物などハードではなく、ソフトに大学の投資を振り向け、ブランド価値を上げてもらう」(文科省高等教育局専門教育課)ための試金石だ。

【複雑な設計】

新年度から全学部生対象のDS教育を始めるのは中央大だ。文理を超えてリテラシーから応用基礎まで、系統的に学べるよう科目を配置した。早大はさらに独自の修了証明書を発行し、就活やキャリア構築での効果を狙う。またDS学部は4校目、立正大学で新設となっている。

一方、応用基礎レベルは3月をめどに、内閣府で進める認定制度の報告書まとめと、コンソーシアムによるモデルカリキュラムの公表が予定されている。ここではDSとの親和性に差がある自然科学系、社会科学系、人文科学系別のメッセージや、学生25万人中の上位層5万人向け対応など、より複雑な設計となってきそうだ。

関連記事:61校まで広がる数理・データサイエンス・AI教育、各大学は特色を出せるか

日刊工業新聞2021年2月12日

COMMENT

山本佳世子
科学技術部
論説委員兼編集委員

DS学部の新設は17年度の滋賀大学(国立)を皮切りに、18年度の横浜市立大学(公立)、19年度の武蔵野大学(私立)、今春21年度の立正大学(私立)と続く。この顔ぶれをみるとDSは、理工系より文系がメーンという面があり、国公私に偏っていないことがわかる。DSが社会で広く重視されるのは、データを「活用する」側面が大きく、その点では理科系よりむしろ、文科系の学生の重要な素養となるというわけだ。今後は「文系でも高校では、数学をそれなりにしっかり学ぶ」という観点が、強まってくるのではないか。

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