郵政3社の初値は?きょう上場

売り出し総額約1兆4300億円は成長株?安定株?

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 日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の3社は、4日に東京証券取引所1部に上場する。3社合計の売り出し総額は約1兆4300億円で、2014年の全新規株式公開(IPO)を上回る規模だ。国民生活に密着し、圧倒的な知名度を誇る3社の上場は、新たな投資家を誕生させ、株式市場にニューマネーを呼び込むと期待されている。

 今回の売り出しのうち、日本国内分の95%は個人投資家向けに販売。主幹事には国内に強力な販売網を持つ証券会社を中心に11社が選ばれ、その他多くの中堅証券が売り出しに参加する「オールジャパン体制」だった。

 9月の上場承認以来、各証券会社への引き合いや問い合わせは増加。「9、10月の新規証券口座の開設数が大きく伸びた」と、各社の首脳や幹部は口をそろえる。郵政上場で市場に入る新規マネーが、他企業の株価を押し上げるとの期待もある。郵政上場が今後の市場に与える影響も注目されている。

適正な初値で安定株主づくりを


 2007年10月の郵政民営・分社化から8年、05年の郵政選挙からは10年。日本郵政と、子会社であるゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の3社が4日、東京証券取引所に一斉に上場する。

 売り出し価格は日本郵政が1株1400円、ゆうちょ銀が同1450円、かんぽ生命が同2200円。抜群の知名度と高い配当利回り、割安感から個人投資家を中心に人気が予想される。政府は東日本大震災の復興財源として、22年度までに3回に分けて計4兆円分の株を市場に放出する予定だ。適正な初値がつき、無難なスタートを切ることを期待したい。
 
 政府も郵政グループ各社も、国内の個人投資家が安定株主になることを望んでいる。市場関係者は「初めて投資する人は(100万円枠の)少額投資非課税制度(NISA)を使ってはどうか」と長期保有をうながしている。
 
 子会社である金融2社のPBR(株価純資産倍率)は大手銀行や生保に比べ低いが、配当利回りは高い。親会社の日本郵政の企業価値は子会社に左右されるものの、全国2万4000局の郵便局は国民にとって身近な存在であり、信頼を得ている。関係者によれば、3銘柄をセットで購入したいという投資家も多いという。
 
 政府系企業の上場では、旧電電公社が85年4月に民営化されたNTTを思い出す人が多いだろう。87年2月の東証1部上場時の公開価格は119万7000円。それが当時の財テクブームに乗って初値160万円の人気となり、4月には一時、318万円の最高値をつけた。
 
 大蔵省(現財務省)は上場後、定期的に保有株を放出する計画だった。しかしNTT株は間もなく急落し、結果的に高値づかみした投資家が悲鳴を上げた。90年代に入ってバブルが崩壊すると、その後のJR各社やJTなどの政府保有株放出計画が大きく狂った。
 
 郵政株はNTT株のような熱狂的な状況にはなるまい。しかし政府系では最後の大型上場ともいわれる郵政株の放出だ。上場を告げる東証の鐘が、関係者の多くに福音となることを望む。

日刊工業新聞2015年11月04日 2面&「社説」より

COMMENT

明豊
執行役員 DX担当
デジタルメディア局長

アナリストの予想では、3社とも初値は売り出し価格を5ー10%程度上回るとの見方が多い。菅官房長官は会見の中「貯蓄から投資への流れをいっそう加速させるきっかけになって、経済の好循環につながることを期待したい」と話しているが、市場では「成長株」としてあまり期待されていない側面もある。一部の販売機関も資産化した「安定株」という訴求の仕方をしている。郵政グループが成長戦略を描かなければ、そもそも民営化した意義も薄れる。

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