門外不出の高級磁器「鍋島焼」。産地初のオンライン販売ブランドが誕生
江戸時代、藩直営の窯で製造され、長らく門外不出とされてきた鍋島焼。350年以上の歴史を持つその魅力を広く発信し、次代に継承しようと産地初となるオンライン販売ブランドが2021年1月に立ち上がった。ブランド名は「鍋島藩窯百撰」。まずは36アイテムを取りそろえネット注文に応じるほか、歴史や文化、技法、風土などを読み物として紹介する。
サイトを運営するのは「鍋島虎仙窯」(佐賀県伊万里市)の番頭兼絵師である川副隆彦さん。独自の「職人目線」で商品やコンテンツを取りそろえた。今後は鍋島焼の技術を取り入れたOEM(相手先ブランド)事業や企業とのオリジナル商品開発といった協業や産地独自の展示会の企画も検討する。
鍋島焼は「色鍋島」や「藍鍋島」「鍋島青磁」といった独自の様式を持つ高級磁器で、将軍家や諸大名に向けた献上品といて製造されてきた歴史を持つ。明治以降は民窯となったものの産地としての流通ルートは確立しておらず、首都圏で商品を購入できる店舗も限られているのが実情だ。
川副さんは、伝統的な技法を生かしつつ現代の暮らしにマッチする作品づくりにも取り組んでいる。「これからの時代は、ひとつの窯元だけでなく、産地全体でひとつのビジネスモデルを作っていくべき」と考えており、産地一丸となった今回のブランド戦略や流通網の確立を通じて広く魅力を発信することで、「『鍋島の未来』への第一歩としたい」と話している。
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