トヨタ系部品メーカーの今期業績はこれだ!12社中10社が増益予想

北米市場や円安がプラスに。VW問題「売上高の1・5%程度なので大きな影響はない」(ジェイテクト社長)

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 トヨタ自動車グループ・系列12社の2016年3月期連結決算予想は9社が増収、10社が営業増益を見込む。北米で大型車や高級車向け部品などが伸び、為替の円安基調も収益を押し上げる。豊田自動織機やジェイテクトは売上高、各利益段階で過去最高の更新を予想し、アイシン精機は売上高や経常利益などで過去最高を達成する見通しだ。ただ、中国経済の減速が業績を押し下げる懸念も根強い。

 デンソーは16年3月月期連結決算予想で売上高を500億円上方修正した。だが、有馬浩二社長は「中国やアジア地域で車両生産が減速している」と営業利益は300億円下方修正した。上期は北米やアジアが為替の影響を除いても増収増益だった。円安効果は営業利益ベースで280億円の増益要因となった。

 アイシン精機も上期は「中国市場は減速傾向だが、トヨタ自動車を含めて日系車メーカーは伸びた」(伊原保守社長)としている。しかし下期は車メーカーも慎重な生産計画を部品各社に提示している。そんな中、収益を支えるのは北米市場だ。カーエアコン用コンプレッサーや産業用車両の販売を伸ばしている豊田自動織機の大西朗社長は「市場も当社の販売も一番堅調なのが北米」と言い切る。

 独フォルクスワーゲン(VW)の排ガス不正問題については、「VW本体とティア1向けを含めて売上高の1・5%程度なので大きな影響はない」(安形哲夫ジェイテクト社長)と各社冷静に受け止めている。また環太平洋連携協定(TPP)の大筋合意には「大きな影響はないが、日本で戦える環境が整えば良いことだ」(三浦憲二東海理化社長)と肯定的な見方を示した。

設計改革を初採用した4代目「プリウス」をどうみたか


日刊工業新聞2015年10月22日付


 トヨタ自動車がハイブリッド車(HV)「プリウス」4代目モデルに初導入した設計改革「TNGA」では、部品・ユニットを共通化し、車種をまたいで採用する。トヨタはTNGAを2020年頃までに世界販売台数の半数に導入する計画。4代目プリウスは部品メーカーにとって、今後の部品受注量を左右しかねない車種だった。

 豊田自動織機はカーエアコン用電動コンプレッサーやDC(直流)/DCコンバーターなどの部品を供給している。アイシン精機グループはHV用変速機や回生協調ブレーキなど燃費性能に直結する部品を中心に生産する。いずれも新型プリウスにあわせ、改良を進めた。

  「(TNGA採用の部品の)ベースはグローバルスタンダード(世界標準)にしたい」。トヨタ系部品メーカー首脳は、こう力を込める。

今後の受注量を左右、危機感と期待が交錯


 トヨタは部品のつなぎ方などの各種規格を、TNGAを機に世界標準に転換した。TNGAに対応した部品は、トヨタとの取引の拡大・維持はもちろん、海外の自動車メーカーへの部品供給拡大の切り札になり得る。

 別の部品メーカー首脳は「ある(部品の)形状をTNGAに提案して採用された」と手応えを感じている。TNGAによって、トヨタと部品メーカーの共同開発や連携は増え、距離は確実に縮まった。とはいえ「全部の仕事がうちに来るわけではない」と気を引き締めている。

 部品メーカーは開発と並行して、生産効率化などモノづくり改革にも取り組んでいる。自動変速機(AT)で世界最大手のアイシン・エィ・ダブリュ(アイシンAW)はTNGAに適応した新設計のATと、トヨタ向け以外のATの基本骨格を統一する。

 新基準のATは16年に岡崎東工場(愛知県岡崎市)で生産を始める。今後は「(トヨタ向けと他社向けで)互換性のある生産ラインをつくる」(川本睦アイシンAW社長)方針だ。実現すれば生産効率が高まり需要変動にも柔軟に対応できる。

 4代目プリウスによって形が見えてきたTNGA。海外取引の拡大可能性や生産効率向上などの一方で、世界的な競争激化やリコール(無料の回収・修理)の大規模化などさまざまな影響を部品メーカーにもたらす。「取引価格はつらくなるが、プラスに受け止め(部品の)種類を絞り込んで量を取っていく」。部品メーカーも悩みながら必死でTNGAと向き合っている。

日刊工業新聞2015年11月02日 自動車面

COMMENT

明豊
デジタルメディア局
局長

デンソーの有馬社長が指摘する通り中国・アジアが懸念材料に加え、そろそろ円安享受の構図も終わりを告げる可能性が高い。中長期的にはトヨタの設計改革の流れにのる企業とそうでない企業で、業績は2極化していくことも。その前にトヨタ系部品メーカーの再編第二弾も想定される。

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