運輸各社、中国減速に不安感―航空は訪日中国人の影響で好調
中国経済の減速が運輸各社の業績に影を落とし始めている。日本郵船、商船三井、川崎汽船の海運3社は中国向けが多いドライバルク船の運賃低迷などで、2016年3月期の業績予想を下方修正。下方修正は7月に続き2回目で、決算発表のたびに予想を下げている状況だ。一方、航空の4―9月期は訪日外国人の拡大などで国際線事業が好調。だが、ANAホールディングス(HD)は売上高などが過去最高となりながら、中国経済の先行き不透明感を警戒し、通期予想の上方修正を見送った。
日本郵船の宮本教子経営委員は4―9月期の業績について、「海運市況の低迷を円安と燃料安の外部要因で補って、コスト削減で増益にした」と述べた。足元では円安と燃料安が海運各社の追い風になり、タンカーなど一部の運賃は堅調で、日本郵船は増収増益となった。しかし通期でみると、それだけでは補えないレベルまで、海運市況が低迷しているのが現状だ。川崎汽船は耐えきれず、4―9月期で減益に転じた。
海運市況は15年始めに中国の鉄鉱石需要の低迷で、ドライバルク船の運賃が下落。ここに春先からコンテナ船の運賃下落が重なり、二重苦に陥っている。コンテナ船は7―9月に欧州航路の運賃がさらに下がり、コンテナ船事業の業績は商船三井で41億円の経常損失、川崎汽船で10億円の経常損失となった。
ドライバルク船の運賃も中国の石炭の輸入低迷などで、低水準が続き、ドライバルク船を中心に運航する第一中央汽船は9月に経営破たんした。親会社の商船三井は株式評価損を262億円計上し、4―9月期は2億円の当期赤字となった。各社、先の見えない海運市況の低迷にうなだれるばかりだ。
一方、航空はANAHD、日本航空(JAL)ともに、訪日外国人の拡大もあり、4―9月期の業績は好調だ。ANAは売上高、営業利益、経常利益が過去最高となり、JALも各利益段階で前年同期に比べ、30%程度伸長。訪日外国人の拡大が旅客数増につながり、外貨収入も拡大してJALは16年3月期の業績予想を上方修正した。中国の旅客数はANAで同80%増、JALも同30%増となった。ただ、ANAの平子裕志取締役は中国線の動向について「上期は予想を上回ったが、10月以降、その勢いはなくなっている」と慎重な見方を示している。
日本郵船の宮本教子経営委員は4―9月期の業績について、「海運市況の低迷を円安と燃料安の外部要因で補って、コスト削減で増益にした」と述べた。足元では円安と燃料安が海運各社の追い風になり、タンカーなど一部の運賃は堅調で、日本郵船は増収増益となった。しかし通期でみると、それだけでは補えないレベルまで、海運市況が低迷しているのが現状だ。川崎汽船は耐えきれず、4―9月期で減益に転じた。
海運市況は15年始めに中国の鉄鉱石需要の低迷で、ドライバルク船の運賃が下落。ここに春先からコンテナ船の運賃下落が重なり、二重苦に陥っている。コンテナ船は7―9月に欧州航路の運賃がさらに下がり、コンテナ船事業の業績は商船三井で41億円の経常損失、川崎汽船で10億円の経常損失となった。
ドライバルク船の運賃も中国の石炭の輸入低迷などで、低水準が続き、ドライバルク船を中心に運航する第一中央汽船は9月に経営破たんした。親会社の商船三井は株式評価損を262億円計上し、4―9月期は2億円の当期赤字となった。各社、先の見えない海運市況の低迷にうなだれるばかりだ。
一方、航空はANAHD、日本航空(JAL)ともに、訪日外国人の拡大もあり、4―9月期の業績は好調だ。ANAは売上高、営業利益、経常利益が過去最高となり、JALも各利益段階で前年同期に比べ、30%程度伸長。訪日外国人の拡大が旅客数増につながり、外貨収入も拡大してJALは16年3月期の業績予想を上方修正した。中国の旅客数はANAで同80%増、JALも同30%増となった。ただ、ANAの平子裕志取締役は中国線の動向について「上期は予想を上回ったが、10月以降、その勢いはなくなっている」と慎重な見方を示している。
日刊工業新聞2015年11月02日 建設・エネルギー・生活面