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“クールな日本”を海外に売り込むのに何が必要か?

クールジャパン機構・太田社長に聞く「良いものなのだから、外見もよくして高く売りましょう!」
“クールな日本”を海外に売り込むのに何が必要か?

海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)の太田伸之社長

 2020年までに訪日外国人2000万人を目指す日本。すでに前倒し達成の声も聞かれるが、この勢いに乗って海外で日本文化の良さを広める施策が重要だ。そのための官製投資ファンドである海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)の太田伸之社長にクールな日本の売り込み方を聞いた。

 ―これまで12の投資案件を決めました。どのような基準で決めたのですか。
 「まず第一に案件に政策的意義がなければいけない。そして民業を圧迫せず民間をサポートするのが前提だ。例えば最近投資を決めた『長崎県発の日本茶カフェ』。米国で日本茶カフェを展開し、そのカフェを通じ地域産品の販売網を構築する案件だ。現在、米市場で販売されているお茶の九十数%が中国製のお茶。だから、おいしい日本茶を増やしたいという狙いだ」

 ―お茶と関連商品を売る格好ですね。
 「茶器やお茶や和菓子などコンソーシアムを組んでやった。まさに地方創生にぴったりの案件だ。皆で集まりグループで世界にでようと(提案先には)いっている。これから、こうした形を全国レベルでできたらいい」

 ―どういう提案をすれば投資対象になりますか。やはりブランディングが重要でしょうか。
 「日本国内では日本製の商品が海外ですごい値段で売られていることはあまり知られていない。まず“高く売ること”が大事だ。日本人はカッコよく高く売るのは苦手。日本の武士道に反するのかもしれないが、中身がいいのだから外見もカッコよくして、高く見られないといけないのではないか」
 「今後は大きな日の丸(大型案件)も立てたいし、小さい日の丸の小旗も立てたい。(長崎のお茶のように)小さい旗を立てていると全国にいろんなチャンスがでてくるし、今後はサービスや日本の“ワザ”も売りたい」

 ―海外でのショールーム的な役割は。
 「例えばマレーシアに大手百貨店と組んでクールジャパンの館を設置したが、今後はその館と商品政策をほかの国でもやっていく」 

 ―投資案件は質、量ともに満足ですか。
 「投資が大企業に偏っているという見方もある。しかし、大手だからと出資しているわけではない。大手、中小を問わず、クールなジャパンを売りましょう、ということ。現在、常時100件程度の案件を検討しているが、(12件の案件は)1年目としてはまずまず。ただ投資案件は数ではないと思っている」
(文=森谷信雄)
2015年10月30日 建設・エネルギー・生活面
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
太田社長は長崎のお茶をモデルに、全国の“クール”な日本食や製品などを一つの塊として日本文化の“輸出”を狙っている。今後、地方創生の一つの手段としても期待されそうだ。  

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