ミシン針停止で縫製の時間を計測、ブラザー工業がIoTで工程平準化

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携帯端末で縫製品の不良を管理できる

ブラザー工業は世界屈指の工業用ミシンメーカー。主な納入先はベトナムやインド、バングラデシュなどのアパレル縫製工場だ。同社はIoT(モノのインターネット)で各縫製工程の平準化を支援するシステム「ネクシオシステム(NS)」を2018年2月から提供している。

アパレル工場はシャツなら襟や袖など部位別に20から50程度に工程を分け、1人1台ずつミシンで縫い分ける流れ作業が一般的。製品が変われば各部位の縫製時間は異なり、各工程を平準化するためストップウオッチで各工程の所要時間を計測して工程割を変える。

NSは各工程で縫製が終わり糸切りのためにミシン針を停止させる状態を感知し、縫製の各所要時間のデータを収集する。これまで手書きだった進捗(しんちょく)管理を自動化できる。縫製ライン上の問題の工程をその場で顕在化でき、原因解明と改善に生かせる。時間帯別や個人別の生産性を表示することも可能だ。

開発開始は14年。業務用カラオケ事業を主力とするグループ会社のエクシング(名古屋市瑞穂区)の通信技術を応用した。中国メーカーなどが技術力を向上させる中、「独自技術での差別化」(北村達也マシナリー事業工業ミシン営業部長)を図った。

有償契約にユーザーの腰は重い。納入先の国々ではサービスは無料が常識だ。それでも「一部には理解され始めた」と北村部長は話す。「他社のミシンを含め工場全体が見たい」「もっとデータを加工したい」など具体的な要望も出てきた。

そこで機能を拡充している。19年には他社製やNSの旧機種でも対応できる機能を追加した。データをパソコンで管理・加工できるよう改良し、不良品を携帯端末でチェックする機能も持たせた。今後は改善や予知保全への具体的なデータ活用を提案し、機能ではなく生産性向上を提案する。「工場全体の高度化支援も目指す」(北村部長)方針だ。(名古屋編集委員・村国哲也)

日刊工業新聞2020年12月3日

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