目指すのは「あるべきNECの姿」、森田次期社長の成長戦略とは

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1世代ごとに強くなる経営

「経営は1世代ごとに強くなるバトンタッチが必要。そういう経営でなければならない」―。森田隆之次期社長が今後の指針とする新中期経営計画には「あるべきNECの姿」に向けた精緻な成長戦略が注目される。新中計は「どこでどういう戦い方をして、自分たちの強みをコスト競争力としたり、価格プレミアムとしたりするか」を吟味して策定中。投手でいえばブルペンで剛速球を投げ、肩ができあがった上でのトップ登板となる。(編集委員・斉藤実)

森田氏はグローバルを知るM&A(合併・買収)のキーマン。M&A戦略を通じて、NECが目指す新成長への道を切り開いてきた。

ここ数年は“買い方”を中心とする攻めの姿勢が際立つが、森田氏が歩んできた道は“売り方”が多く、苦しい台所事情の中で「自分たちの方向性や価値を見つめ直してきた」と振り返る。

【パソコン成功】

NECは2000年代に入り、経営改革に向けて事業売却を相次ぎ断行し、世間からは「タマネギ経営」とも揶揄(やゆ)された。

「手がけたM&Aはすべて愛着があるが、成功したのはパソコン事業の売却だ」と森田氏は語る。当時、パソコン事業は国内ではシェア1位だったが、グローバル製品ゆえに採算性は厳しかった。11年に中国のレノボ・グループに売却したが、「NECのブランドは維持し、生産拠点の米沢工場(山形県米沢市)は現在もうまく機能している」(森田氏)。

収益が安定してきたのは12年頃から。遠藤信博会長が社長だった当時、経営陣が毎週集まり、「どういう会社を目指すのか」「何のために存在するのか」といった根源的な議論した。

【社会価値創造】

中には、儲けよりも社会的な役割を重視するような発言もあったが、森田氏は「崇高な目標があっても会社自体がなくなったら続けられない」と発言。「そういう当たり前のことが理解されていなかった」と当時を振り返る。

議論の末、目標に据えたのは「社会価値創造企業」。「利益を出すということは、価値が認められていることだ。利益が出ない、ということは自分たちの社会的な価値が認められていないことだ」とし、新たなスタートを切った。

【外部から登用】

新野隆社長となり、社会価値創造企業への道を深耕。「実態も変わらないと、人の気持ちは変わらない」との判断から、外部から優秀な人材を登用し、人事制度の見直しを含めカルチャー変革に力を注いだ。経営が巡航速度に戻る中で、20年度はコロナ禍で苦戦するが、中期経営計画の達成に向けて全力を尽くす構えだ。

日刊工業新聞2020年12月1日

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